建設業許可取得後の『決算変更届』とは?土木一式から他業種まで、提出方法・必要書類・費用を解説 | リーガルシンク社労士・行政書士事務所
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建設業許可取得後の『決算変更届』とは?土木一式から他業種まで、提出方法・必要書類・費用を解説

2026.06.11

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の 許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

建設業許可を取得された事業者様にとって、毎事業年度終了後に提出が義務付けられているのが「決算変更届」です。この手続きは、許可の維持だけでなく、将来的な更新や経営事項審査にも影響する重要なものです。特に初めて提出される方や、土木一式工事など複数の業種を手掛ける方にとっては、その準備や提出方法に疑問を感じることもあるかもしれません。

本記事では、決算変更届の基本的な情報から、具体的な必要書類、提出の流れ、費用目安まで、わかりやすく解説します。建設業許可を適切に維持し、事業を円滑に進めるための一助としてご活用いただければ幸いです。

目次

建設業許可における決算変更届とは?なぜ提出が必要?

建設業許可を維持するためには、許可取得後の各種届出が重要です。その中でも「決算変更届」は、毎事業年度終了後に義務付けられている、経営状況の透明性を保つための手続きです。

決算変更届の目的と義務

決算変更届(正式名称:変更届出書)とは、建設業許可を受けた建設業者が、毎事業年度終了後、その事業年度における工事施工の状況や財務状況などの変更事項を許可行政庁に届け出るものです。これは、建設業法 第十一条第一項によって義務付けられています。

建設業法 第十一条第一項
建設業者は、第七条第一号イ若しくはロ又は第二号に該当するに至つた後、第九条各号に掲げる事項に変更があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、その日から三十日以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

引用元: e-Gov法令検索 建設業法

この届出の主な目的は、許可行政庁が建設業者の経営状況や施工能力を継続的に把握し、適切な指導・監督を行うことにあります。建設業許可の更新時や、公共工事の入札に参加するために必要な経営事項審査(経審)を受ける際にも、この決算変更届が適正に提出されていることが前提となります。

提出対象者と提出期限

決算変更届の提出対象者は、建設業許可を受けているすべての建設業者です。法人・個人事業主の別を問いません。

提出期限は、毎事業年度終了後4ヶ月以内とされています。例えば、3月決算の法人であれば、7月末日までに届出を提出する必要があります。この期限を過ぎてしまうと、許可の更新や経営事項審査に影響が出る可能性がありますので、注意が必要です。

個人事業主の場合、原則として12月31日が事業年度末となるため、翌年4月末日までに届出を提出することになります。

決算変更届に必要な主要書類【土木一式・その他業種共通】

決算変更届には、その事業年度の財務状況や工事実績などを証明するさまざまな書類が必要です。ここでは、土木一式工事を含む、すべての建設業許可業者に共通して求められる主要書類を解説します。都道府県によっては追加で求められる書類や書式がある場合がありますので、管轄の行政庁のウェブサイトなどで最新情報を確認することが推奨されます。

共通で求められる書類一覧

一般的に、以下の書類が必要となります。

  • 変更届出書(様式第22号の2):決算変更届の表紙となる書類です。
  • 工事経歴書(様式第2号):当該事業年度中に完成した工事の概要を記載します。請負金額の大きい工事や元請工事から順に記載するのが一般的です。
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号):各業種における完成工事高を記載します。
  • 財務諸表
    • 貸借対照表(法人:様式第15号、個人:様式第16号)
    • 損益計算書(法人:様式第17号、個人:様式第18号)
    • 完成工事原価報告書(法人:様式第17号の2)
    • 株主資本等変動計算書(法人:様式第17号の3)
    • 注記表(法人:様式第17号の4)
    • 個別注記表(個人:様式第18号の2)

    これらの財務諸表は、法人であれば税務申告書(確定申告書)に添付したものと同一の内容であることが原則です。個人事業主の場合も、確定申告書の内容に準じたものとなります。

  • 事業報告書(法人:様式第17号の5):株式会社の場合に添付が求められます。
  • 附属明細書(法人:様式第17号の6):財務諸表の内訳を詳細に記載するものです。
  • 納税証明書:法人税(法人事業税)または所得税(個人事業税)の納税証明書を求められる場合があります。

これらの書類に加え、役員や専任技術者などに変更があった場合は、別途その変更を届け出るための書類が必要になります。また、都道府県によっては、事業年度ごとの消費税等の納税証明書の提出を求めるケースもあります。

書類作成のポイントと注意点

  • 税務申告との整合性:提出する財務諸表は、税務署に提出した確定申告書の内容と一致している必要があります。税理士と連携し、齟齬がないように準備しましょう。
  • 工事経歴の詳細な記載:工事経歴書は、将来の経営事項審査にも影響します。特に元請工事については、工事名、請負金額、工期、発注者などを正確に記載することが重要です。
  • 印鑑の準備:法人であれば代表者印、個人事業主であれば実印など、必要な箇所への押印を忘れないようにしましょう。
  • 最新の様式の確認:建設業許可の様式は、法令改正や運用変更により変わることがあります。提出前には、必ず管轄の行政庁のウェブサイトで最新の様式を確認してください。

土木一式工事における決算変更届のポイント

土木一式工事の許可をお持ちの事業者様も、決算変更届の基本的な提出書類は上記で解説した共通書類と同様です。しかし、業種特有の記載や完成工事高の分類において、いくつかの留意点があります。

業種ごとの記載・分類の留意点

工事経歴書(様式第2号)や直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)では、請負った工事を許可業種ごとに分類して記載する必要があります。土木一式工事の場合、例えば以下のような工事を計上することになります。

  • 河川、道路、橋梁、鉄道、ダム、空港、港湾、上下水道などの土木工作物に関する工事
  • 圃場整備、埋立、干拓工事など

複数の業種(例:土木一式ととび・土工・コンクリート工事など)の許可をお持ちの場合、一つの工事が複数の業種にまたがる可能性もあります。その際は、どの業種に該当するかを適切に判断し、金額を按分するなどして計上する必要があります。判断に迷う場合は、管轄の行政庁に確認することが重要です。

完成工事高、技術者情報などの整理

  • 完成工事高:様式第3号では、許可を受けている各業種ごとの完成工事高を記載します。土木一式工事の完成工事高を正確に集計しておくことが求められます。
  • 兼業事業の売上高:建設業以外の事業(不動産賃貸業など)を行っている場合、その売上高も財務諸表に計上されますが、工事経歴書や工事施工金額の欄には建設業に関するもののみを記載します。
  • 技術者情報:決算変更届とは直接関係ありませんが、事業年度中に専任技術者や監理技術者、主任技術者に変更があった場合は、別途「変更届出書」を提出する必要があります。これらの情報も、許可行政庁が継続的に把握する情報の一部です。

決算変更届の提出方法と手続きの流れ

決算変更届の提出方法や流れは、許可を受けている行政庁(国土交通大臣許可か都道府県知事許可か)によって多少異なります。以下に一般的な流れと注意点を示します。

提出先(知事許可・大臣許可)

  • 都道府県知事許可の場合:主たる営業所の所在地を管轄する都道府県の建設業担当部署(建設業課、建築指導課など)に提出します。例えば東京都知事許可の場合は、東京都都市整備局建設業課が提出先です。
  • 国土交通大臣許可の場合:主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局(または北海道開発局)に提出します。複数の都道府県に営業所を持つ場合に大臣許可となります。

提出方法は、窓口への持参、郵送が一般的ですが、一部の自治体では電子申請に対応している場合もあります。事前に提出方法を確認しましょう。

一般的な提出の流れと注意点

  1. 決算確定と税務申告:まず、事業年度末に決算を確定させ、税理士と連携して法人税(所得税)の確定申告を行います。決算変更届の提出期限(事業年度終了後4ヶ月以内)は、税務申告の期限(事業年度終了後2ヶ月以内)より後になるため、通常は税務申告が終わってから準備を進めることになります。
  2. 必要書類の収集と作成:上記の「必要書類」に挙げた書類を漏れなく収集・作成します。工事経歴書などは、日頃から工事台帳などを整理しておくとスムーズです。
  3. 書類の確認と製本:作成した書類に不備がないか、記載漏れがないかなどを十分に確認します。複数枚にわたる書類は、提出先行政庁の指示に従って製本または綴じる必要があります。
  4. 提出:管轄の行政庁へ提出します。窓口に持参する場合は、事前に予約が必要な場合や、受付時間が限られている場合があるため、事前に確認しましょう。郵送の場合は、書留など記録の残る方法で送付し、控えを保管しておくことが推奨されます。
  5. 補正対応:提出した書類に不備があった場合、行政庁から補正を求められることがあります。迅速に対応できるよう、連絡が取れる体制を整えておくことが大切です。

提出期限に余裕を持って準備を開始し、不明な点は管轄の行政庁に相談する、または専門家に依頼するなど、計画的に進めることが大切です。

決算変更届の費用目安と行政書士に依頼するメリット

決算変更届自体に行政庁へ支払う手数料はかかりません。しかし、書類作成にかかる時間や、専門家へ依頼する場合の費用が発生します。ここでは、それぞれの費用目安と、行政書士に依頼するメリット・デメリットを解説します。

事業者自身で提出する場合の費用

事業者ご自身で決算変更届を提出する場合、行政庁に支払う申請手数料は原則としてかかりません。ただし、以下の費用が発生する場合があります。

  • 書類作成にかかる時間的コスト:書類の収集、作成、行政庁との確認などに要する時間。
  • 郵送費用:郵送で提出する場合の書留代など。
  • コピー代、印刷代:書類の部数によっては費用がかかります。
  • 納税証明書の取得費用:税務署や都道府県税事務所で取得する際に手数料がかかる場合があります(例:印紙代など)。

これらの費用は少額ですが、時間的コストは事業活動に直結するため、見過ごせない要因となるでしょう。

行政書士に依頼する場合の費用相場

決算変更届の作成・提出を行政書士に依頼する場合、その費用はおおむね3万円〜8万円程度が目安となります。報酬額は、業者の規模、工事内容の複雑さ、提出書類の準備状況、関与する業種数、追加業務の有無(役員変更など)によって変動する傾向があります。

  • 標準的なケース:5万円前後
  • 書類準備が不十分、複数業種対応、過去の未提出分も含む場合:8万円以上になることも考えられます。

依頼前には、必ず複数の行政書士事務所から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをお勧めします。

専門家に依頼するメリットとデメリット

メリット

  • 時間と手間の削減:慣れない書類作成や行政庁とのやり取りから解放され、本業に集中できます。
  • 正確性の向上:建設業許可に関する専門知識を持つ行政書士が作成するため、書類の不備や記載ミスによる補正のリスクを低減できます。
  • 将来的なアドバイス:許可の更新や経営事項審査を見据えたアドバイスを受けることができる場合があります。
  • 提出遅延のリスク軽減:専門家が期限管理を行うため、提出忘れや遅延のリスクを抑えることが可能です。

デメリット

  • 費用が発生する:ご自身で手続きを行うよりも費用がかかります。
  • コミュニケーションコスト:依頼内容や進捗状況の確認など、行政書士との連絡が必要になります。

ご自身の状況や、手続きにかけることができる時間・労力を考慮し、DIYと専門家依頼のどちらが適しているかを判断することが重要です。

決算変更届に関するよくあるQ&A

決算変更届に関してよく寄せられる疑問とその回答をまとめました。

Q1: 提出を忘れるとどうなりますか?

A: 決算変更届の提出は、建設業法第十一条により義務付けられています。提出を怠ると、建設業許可の更新ができない経営事項審査を受けられないといった問題が発生する可能性があります。また、場合によっては行政指導の対象となったり、建設業法違反として罰則の対象となる可能性も考えられます。

過去に提出を忘れていた場合は、遡って提出する必要があります。この場合、数年分の書類作成が必要となり、手間が増えるだけでなく、行政庁からの説明を求められることもあります。早急に管轄の行政庁または専門の行政書士にご相談ください。

参考: 国土交通省 建設業許可事務ガイドライン

Q2: 複数業種を持つ場合の注意点は?

A: 複数業種(例:土木一式、建築一式、電気工事など)の許可をお持ちの場合、工事経歴書(様式第2号)や直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)では、それぞれの業種について完成工事高を正確に区分して記載する必要があります。一つの工事が複数の業種に該当する場合は、実態に応じて適切に按分するか、メインとなる業種に計上するなど、行政庁の指示に従うことが求められます。

また、各業種における技術者情報に変更がないかなども改めて確認し、必要に応じて別途変更届を提出する必要があります。

Q3: 変更があった場合は決算変更届以外にも届出が必要ですか?

A: はい、決算変更届は事業年度ごとの経営状況を報告するものですが、それとは別に、事業年度の途中でも届け出る必要がある変更事項があります。例えば、以下のような変更があった場合は、原則として30日以内(役員の新任・退任など一部は2週間以内)に別途「変更届出書」を提出する必要があります。

  • 商号または名称の変更
  • 営業所の新設・廃止、所在地変更
  • 資本金の額の変更
  • 役員(法人)、支配人(法人・個人)、個人事業主(個人)の氏名や就任・退任
  • 専任技術者の変更
  • 国家資格者等・監理技術者の変更
  • 株主(法人の場合)の変更

これらの変更を適切に届け出ないと、行政庁の登録情報と実態が乖離し、許可の更新時などに問題となる可能性があります。変更が生じた際は、速やかに確認し、必要な届出を提出しましょう。

参考: 東京都都市整備局 建設業許可関係の届出・申請(変更届・廃業届等)

まとめ

本記事では、建設業許可を取得した事業者が毎年提出する義務のある「決算変更届」について、その目的、提出書類、作成・提出方法、期間、費用目安を解説しました。土木一式工事などを手掛ける事業者の方も、初めての方も、この手続きを円滑に進めるための情報としてお役立ていただければ幸いです。

決算変更届は、許可を維持し、将来の事業展開(許可の更新や経営事項審査など)に不可欠な手続きです。提出期限や必要書類を事前に把握し、計画的に準備を進めることが大切です。もし、書類作成や手続きに関してご不明な点がある場合は、お気軽に専門の行政書士にご相談ください。

本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門の行政書士にご確認ください。

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