ブログ記事
2026.09.19
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
「とび・土工の許可を持っているから解体工事もできるはずだ」「小さい解体工事なら許可は不要だろう」――このような誤解から、意図せず法律違反を重ねてしまう建設業者様が少なくありません。
平成28年の建設業法改正によって「解体工事業」が新設されて以降、解体工事に関する規制は大きく変わりました。しかし、この変更が十分に浸透しておらず、昔ながらの認識で工事を請け負ってしまうケースが後を絶ちません。
私どもは、大阪府を拠点に行政書士・社会保険労務士として、日々建設業者様の許可取得・更新をサポートしています。本記事では、解体工事業に関するよくある誤解を解消し、大阪府をはじめとする近畿圏の建設業者様が適法に解体工事を行えるよう、制度の全体像、要件、手続き、そしてそのリスクについて詳しく解説いたします。
結論から申し上げますと、解体工事業は「とび・土工工事業」とは異なる独立した建設業種であり、適法に解体工事を行うためには、別途「解体工事業の建設業許可」または「解体工事業の登録」が必須です。
「とび・土工工事業」の許可だけでは、いかなる金額の解体工事も適法に行うことはできません。
以前、建物の解体工事は「とび・土工工事業」に含まれていました。しかし、解体工事の専門性や適切な施工管理の必要性から、平成28年6月1日に建設業法が改正され、「解体工事業」が新たな建設業種として独立して創設されました。
参照:建設業許可制度における解体工事業の新設について – 国土交通省
この改正には、混乱を避けるための経過措置期間が設けられ、令和元年5月31日までは既存の「とび・土工工事業」の許可で解体工事を行うことができました。しかし、この経過措置期間は令和元年5月31日をもって終了しています。
現在では、請負金額が500万円以上(消費税込)の解体工事を行う場合、必ず「解体工事業」の建設業許可が必要となります。
建設業許可は、主に以下の2つの分類で取得されます。
解体工事業も、これらの分類に沿って「大阪府知事許可(一般建設業・解体工事業)」のように取得する必要があります。
解体工事を行う上で知っておくべき制度は、建設業法上の許可だけではありません。請負金額によって適用される法律が異なるため、注意が必要です。
請負金額500万円以上(消費税込)の解体工事を行う場合は、建設業法第3条に基づき、「解体工事業」の建設業許可が必須です。
許可なく500万円以上の解体工事を請け負うことは、建設業法違反(無許可営業)にあたります。これには、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法 第47条)という重い刑事罰が科される可能性があります。また、現在取得している他の建設業許可についても、営業停止や許可取消しといった監督処分(建設業法 第28条)を受けるリスクがあります。
請負金額500万円未満(消費税込)の解体工事を行う場合は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第21条に基づき、原則として都道府県知事への「解体工事業の登録」が必要です。
この登録は、廃棄物の適正処理や資源の再利用を促進するための制度であり、解体工事を行う全ての事業者に求められるものです。
ただし、以下の建設業許可をお持ちの場合は、建設リサイクル法上の解体工事業の登録は不要です。
重要:とび・土工工事業の許可をお持ちの事業者様は、この例外には該当しません。したがって、とび・土工工事業の許可だけでは、500万円未満の解体工事であっても、解体工事業の登録が別途必要となります。
無登録で500万円未満の解体工事を請け負うことは、建設リサイクル法違反(無登録営業)にあたり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金(建設リサイクル法 第51条)の対象となります。
解体工事業に関して、多くの事業者様が陥りやすい誤解とその正しい理解について解説します。
前述の通り、平成28年の建設業法改正により、解体工事業はとび・土工工事業から独立しました。経過措置期間は令和元年5月31日で終了しているため、現在「とび・土工工事業」の許可のみでは、いかなる金額の解体工事も適法に行うことはできません。
「物置の解体」「カーポートの解体」といった小規模な工事であっても、請負金額が500万円未満であれば、原則として「解体工事業の登録」が必要です。無登録での営業は建設リサイクル法違反となります。許可や登録の要否は請負金額と、どの業種の許可を持っているかで決まります。
「昔からずっと解体工事をやってきたから大丈夫」「知らなかった」という認識は、法律上通用しません。令和元年6月1日以降に行った解体工事で、上記の許可・登録がない場合は、そのすべてが違法行為である可能性があります。
違法状態を放置すると、刑事罰や行政処分(営業停止、許可取消し)のリスクだけでなく、元請からの信用失墜や取引停止に繋がる可能性もあります。早期に自身の許可・登録状況を確認し、必要に応じて適正な手続きを行うことが極めて重要です。
建設業許可(解体工事業)を取得するためには、建設業法で定められたいくつかの要件を満たす必要があります。ここでは、大阪府知事許可を想定し、主な要件とその確認ポイントを解説します。
建設業法 第7条第1号では、営業所ごとに「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者」がいることが求められます。これは一般に「経営業務管理責任者(略して経管)」と呼ばれます。
具体的には、以下のいずれかの経験が必要です。
この経験は、法人の役員や個人事業主としての経験、または法人の従業員として建設業の経営業務を執行する役員に準ずる地位(執行役員、支配人など)での経験を指します。経験を証明するためには、商業登記簿謄本、確定申告書、工事請負契約書などの客観的な資料が必要です。
建設業法 第7条第2号では、営業所ごとに「専任技術者」を配置することが求められます。専任技術者は、その業種に関する専門知識や技術力を有していることを証明する者です。
解体工事業の専任技術者となるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
実務経験を証明するためには、請負契約書、注文書・請書、請求書、工事台帳などの客観的な一次資料が必須です。これらの資料が不足している場合、要件を満たしていても証明できず、許可申請が困難になる可能性があります。
大阪府での申請においては、これらの書類を厳格に審査します。実務経験の内容や期間が明確にわかる資料を事前に準備しておくことが重要です。
参照:建設業許可について – 大阪府
建設業法 第7条第3号では、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があることが求められます。
これらの要件は、申請時点の直近の決算書や、金融機関の残高証明書などで確認されます。資金が不足している場合は、増資や借入金などで要件を満たす必要があります。
参照:建設業許可の財産的基礎とは?自己資本を増強し許可取得・維持を目指す経営戦略【大阪府対応】
建設業法 第7条第4号、第8条では、許可申請者やその役員、法定代理人などが、建設工事の請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがなく、かつ、一定の欠格要件に該当しないことが求められます。
これらの要件は、許可の公平性・透明性を保つために非常に重要であり、申請時に厳しくチェックされます。
解体工事業の許可・登録申請は、必要書類が多く、専門的な知識も要求されるため、計画的に進めることが重要です。
すでに他の業種の建設業許可をお持ちで、解体工事業を追加する場合は「業種追加申請」となります。新規で解体工事業の許可を取得する場合も基本的な流れは同じです。
期間目安:大阪府知事許可の業種追加申請の場合、申請から許可取得まで通常30日〜45日程度かかります。書類の不備があった場合や、審査が混み合っている場合はさらに期間を要することがあります。
500万円未満の解体工事のみを行う場合は、建設リサイクル法上の登録を行います。
期間目安:都道府県によって異なりますが、申請から登録まで約1ヶ月程度が目安となります。
建設業許可や建設リサイクル法登録には、以下の費用が発生します。
建設業許可申請は複雑であり、多くの書類作成と添付資料の収集が必要です。そのため、専門家である行政書士に依頼する事業者様がほとんどです。大阪府での行政書士への依頼費用は、目安として以下の通りです。
これらの費用は、申請内容の複雑さや事業規模によって変動することがあります。専門家に依頼することで、申請手続きの時間を大幅に短縮でき、法令遵守のリスクを低減することができます。
ご自身の状況に応じて、自社で手続きを行う(DIY)か、専門家へ依頼するかの判断の材料としてご活用ください。費用を抑えたい場合はDIYも選択肢ですが、多大な時間と専門知識が必要となる点に留意が必要です。
建設業許可は取得して終わりではありません。許可を維持し、事業を安定的に継続するためには、取得後の適切な管理と法令遵守が不可欠です。
建設業許可を取得した後も、会社や役員、営業所などの情報に変更があった場合は、建設業法 第11条に基づき、行政庁への変更届出が義務付けられています。
主な変更届出事項には、以下のようなものがあります。
これらの届出を怠ると、建設業法違反となり、監督処分の対象となる可能性があります。定期的な許可内容の確認と、変更が生じた際の速やかな手続きの実施が重要です。
建設業許可の要件として、社会保険(健康保険・厚生年金保険)および労働保険(労災保険・雇用保険)の適正な加入が求められています。これは、企業の社会的責任であるとともに、従業員の安心・安定した雇用環境を確保する上で不可欠です。
特に建設業においては、社会保険等への加入状況が「経営事項審査(経審)」の「社会性等評価(W点)」にも影響を与え、公共工事の入札参加資格に大きく関わってきます。
社労士として見ても、社会保険・労働保険の適正な手続きは、単なる法令遵守に留まらず、企業の信頼性向上、優秀な人材の確保・定着、従業員のモチベーション維持にも繋がる重要な経営戦略の一環です。これらの手続きに不安がある場合は、専門家である社会保険労務士にご相談いただくことをお勧めします。
参照:建設業許可と社会保険・労働保険|一体的な対応で企業信頼性と経営安定化を実現【大阪府対応】
Q1: とび・土工の許可で請け負った過去の解体工事は遡って問題になりますか?
A1: 令和元年6月1日以降の解体工事で、請負金額が500万円以上であれば建設業法違反(無許可営業)、500万円未満であれば建設リサイクル法違反(無登録営業)に該当する可能性があります。行政庁の調査で発覚した場合、行政指導や罰則の対象となるリスクがあります。発覚した際は事実を隠蔽せず、速やかに専門家にご相談の上、是正措置を講じることが重要です。
Q2: 解体工事業の許可がないと、解体工事を含む建築一式工事もできませんか?
A2: 建築一式工事の建設業許可をお持ちであれば、その工事の一部として解体工事を行うことは可能です。ただし、解体工事を単体で請け負う場合や、請負金額が500万円以上の場合は、解体工事業の許可が別途必要になります。また、建築一式工事の許可があれば、500万円未満の解体工事に「解体工事業の登録」は不要です。
Q3: 解体工事業の専任技術者は、とび・土工の経験で証明できますか?
A3: とび・土工工事業に係る建設工事の実務経験が8年以上あり、かつ、その後の解体工事業に係る建設工事の実務経験が1年以上ある者(合計9年以上)は、解体工事業の専任技術者の要件を満たせる可能性があります。ただし、実務経験を証明するためには、契約書や請求書、工事台帳などの客観的な資料が必須です。
Q4: 複数の営業所で解体工事を行う場合、専任技術者はどうなりますか?
A4: 建設業許可においては、それぞれの営業所に専任技術者を常勤させる必要があります(建設業法 第7条第2号イ)。解体工事業を複数の営業所で営む場合は、各営業所に解体工事業の専任技術者を配置しなければなりません。一人の専任技術者が複数の営業所を兼務することは原則として認められません。
本記事では、建設業の「解体工事業」について、とび・土工工事業との違い、建設業許可と建設リサイクル法上の登録の必要性、各要件、申請手続き、そして無許可・無登録営業のリスクについて解説しました。
平成28年の建設業法改正により、解体工事業は独立した業種となり、令和元年6月1日以降、請負金額500万円以上の解体工事には「解体工事業の建設業許可」、500万円未満の解体工事には「解体工事業の登録」が原則として必須となっています。これは「知らなかった」では済まされない重要な法令遵守事項です。
現在、解体工事を請け負っている事業者様、またはこれから始めようとしている事業者様は、自身の許可・登録状況を今一度ご確認ください。適法な営業体制を整えることは、事業の継続性、元請からの信頼獲得、そして何より従業員の安心を守るために不可欠です。
建設業許可や建設リサイクル法上の登録に関するご不明な点、またはご自身の状況でどの手続きが必要か判断に迷われる場合は、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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