ブログ記事
2026.07.30
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
建設業許可の取得・更新、そして公共工事への参入を目指す上で避けて通れない経営事項審査(経審)。特に中小建設業者様にとって、限られたリソースの中でどのように点数を効率的に上げていけばよいか、悩まれることも多いかと存じます。本記事では、建設業許可の基本的な情報から、経審の評価項目、そして中小建設業者が優先的に取り組むべき点数アップの戦略について、大阪府の申請実務を主軸に解説します。労務管理や社会保険といった社会保険労務士の視点からも、経審点数向上に繋がる実務的な情報を提供いたしますので、ぜひご自身の経営戦略にお役立てください。
建設業を営む上で、建設業許可と経営事項審査(経審)は密接に関わる重要な制度です。まずはそれぞれの基本的な概要と関係性について解説します。
建設業許可は、建設業を営む事業者が、一定の規模以上の建設工事を請け負うために必要な許可です。建設業法(昭和24年法律第100号)第3条に規定されており、発注者保護と建設業の健全な発展を目的としています。
経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加を希望する建設業者が必ず受けることとされている審査です(建設業法第27条の23)。企業の財務状況、経営規模、技術力、社会性などを客観的に評価し、点数化します。この点数を基に、各発注機関が独自の基準で企業のランク付けを行い、入札参加資格を付与します。
経審は「経営状況分析(Y点)」と「経営規模等評価(X・Z・W点)」の二段階で構成されており、これらの評価点数に、別途計算される「総合評定値(P点)」を加えたものが、公共工事の入札参加資格審査に用いられます。点数が高いほど、より大規模な公共工事や多くの入札に参加できる可能性が広がるため、多くの建設業者にとって重要な経営指標となっています。
公共工事への参入を検討する建設業者にとって、建設業許可と経審は一体のものです。まず、経審を受けるためには有効な建設業許可を保有していることが前提となります。許可がなければ経審を受けることはできません。また、許可を維持するためには5年ごとの更新手続きが必須であり、その間に変更が生じた場合は適宜変更届を提出する必要があります。
許可の維持と経審の点数向上は、企業の信用力強化、事業規模の拡大、そして安定的な受注機会の確保に繋がります。特に大阪府においては、多くの公共工事が存在するため、経審の点数を戦略的に高めることは、地域経済に貢献し、企業の成長を後押しする重要な要素といえるでしょう。
経審は、以下の4つの主要な評価項目から構成され、それぞれに点数が付与されます。これらの点数と、最終的に算出される総合評定値(P点)が、公共工事の入札参加資格審査の基礎となります。
企業の財務状況を多角的に分析する項目です。具体的な評価指標は以下の8つから成り、これらの財務指標に基づいて点数が算出されます。
これらの指標は、貸借対照表や損益計算書といった決算書に基づき評価されます。経営状況分析は、建設業法第27条の29に基づき、国土交通大臣が登録した「登録経営状況分析機関」によって実施されます。
企業の経営規模を評価する項目です。主に以下の2つの要素で構成されます。
企業の技術力を評価する項目です。以下の2つの要素で構成されます。
企業の社会貢献度や法令遵守状況を評価する項目です。非常に多岐にわたる指標が含まれます。
これらの項目は、企業のコンプライアンス意識や従業員の労働環境への配慮を示すものであり、近年特に重要性が高まっています。
P点(総合評定値)は、上記のY点、X点、Z点、W点を国土交通大臣が定める算式に当てはめて算出される最終的な評価点です。このP点が高ければ高いほど、公共工事の入札参加において有利になります。
参考:国土交通省「経営事項審査の概要」
限られた経営資源を持つ中小建設業者様にとって、経審の点数アップに向けた戦略的な取り組みは不可欠です。すべての項目を一度に改善することは困難な場合が多いため、まずは効率的に点数を上げやすい項目に焦点を当てることをお勧めします。
中小建設業者様が経審点数を効率的に上げるためには、まず「X:経営規模分析」と「W:社会性等評価」に注目し、その上で「Z:技術力評価」の改善に取り組むことを優先することが一般的です。「Y:経営状況分析」は直近の財務状況に大きく依存するため、短期間での大幅な改善は難しい場合があります。
X点は企業の規模を直接評価するため、売上高や自己資本額の増加が点数アップに直結します。
W点は法令遵守や社会貢献度を評価するため、比較的取り組みやすく、中小企業でも着実に点数を積み上げられる項目が多いのが特徴です。特に労働福祉に関する項目は、法令遵守の観点からも優先順位が高いといえます。
当事務所は社会保険労務士としても、これらの社会保険関連手続きのサポートが可能です。未加入状態の解消や、適切な加入状況の維持について、ぜひご相談ください。
Z点は技術職員の数や資格、元請実績が評価される項目です。中長期的な視点での取り組みが必要になります。
Y点は企業の財務状態を直接評価するため、短期間での大幅な改善は難しい項目です。しかし、中長期的な視点で健全な経営を行うことで、着実に点数アップを目指すことができます。
Y点の改善は、日々の経営努力と資金管理の徹底が求められるため、経営計画と連動させて取り組むことが大切です。
建設業許可の取得や更新は、多くの書類と厳格な要件が求められる手続きです。ここでは、大阪府知事許可を例に、その概要を解説します。
建設業許可を取得するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります(建設業法第7条、第15条)。
大阪府知事許可の申請は、大阪府の担当窓口に対して行います。手続きは原則として以下の流れで進みます。
都道府県によって必要な書式や提出方法が異なる場合がありますので、詳細は必ず大阪府の公式サイトで最新情報を確認してください。
参考:大阪府「建設業許可申請について」
建設業許可は5年ごとに更新が必要です(建設業法第3条第3項)。更新手続きを怠ると、許可が失効し、軽微な工事以外の建設工事を請け負うことができなくなります。失効した場合、再度新規で許可を取り直す必要があり、その間は事業活動に大きな支障が生じる可能性があります。更新申請は、有効期間満了日の30日前までに行うことが原則とされています。
また、許可取得後に商号、役員、営業所の所在地、専任技術者などに変更があった場合は、その都度変更届を提出する必要があります。変更届の提出を怠ると、更新時や経審時に問題となる場合がありますので注意が必要です。
社会保険労務士の視点から、建設業に関わる労務管理や社会保険の手続きが、建設業許可の維持や経審の点数にどのように影響するかを解説します。
建設業における社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の加入は、企業の法令遵守として非常に重要であり、2012年以降、建設業許可要件の一つとして実質的に義務化されています(建設業法第27条の23第1項第4号)。
適切な社会保険手続きは、企業の社会的信用を高め、優良な人材の確保にも繋がります。未加入状態の場合は、早急に手続きを進めることをお勧めします。
雇用保険と労災保険(労働保険)もまた、従業員を雇用する事業主に加入が義務付けられています(労働保険徴収法第3条、第4条)。
これらの労働保険についても、適正な加入状況は経審のW点で評価されます。また、労働保険料の申告・納付を怠ると、遡って追徴金が課されたり、最悪の場合罰則の対象となる可能性もあります。
2019年4月から順次施行された働き方改革関連法は、建設業にも大きな影響を与えています。特に、2024年4月からは建設業においても時間外労働の上限規制が適用されるため、適切な労務管理が求められます(労働基準法第36条)。
適切な労務管理は、従業員のモチベーション向上や離職率の低下に繋がり、ひいては企業の生産性向上にも貢献します。当事務所では、これらの労務管理全般について、貴社の状況に応じたアドバイスや手続きサポートを提供しております。
Q1: 許可がなくても請け負える工事の範囲はどのくらいですか?
A1: 建設業法上の「軽微な工事」であれば、建設業許可がなくても請け負うことができます。具体的には、1件の請負代金の額が500万円未満の工事(建築一式工事の場合は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造建築工事)がこれに該当します。ただし、これらの基準は一つの契約ごとではなく、実質的に一体とみなされる工事全体で判断されるケースもありますので注意が必要です。
Q2: 経審の点数はどのくらいの期間で改善が見込めますか?
A2: 改善したい項目によって期間は異なります。W点(社会性等評価)の社会保険加入などは比較的短期間(数ヶ月程度)で改善が見込めます。X点(経営規模分析)の完成工事高は日々の営業努力で、自己資本額は増資等で改善が見込めますが、これも準備期間が必要です。Z点(技術力評価)の技術者育成は資格取得に時間を要するため、中長期的な計画(数年単位)が必要です。Y点(経営状況分析)は企業の財務体質そのものであるため、長期的な経営改善が求められます。
Q3: 社会保険に未加入だと経審にどう影響しますか?
A3: 社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)への加入は、経審のW点(社会性等評価)において大きな加点要素です。適正に加入していない場合、W点において大幅な減点となり、経審全体の総合評定値(P点)が大きく下がってしまう可能性があります。また、建設業許可の新規取得や更新自体ができなくなることもありますので、速やかな加入が強く推奨されます。
Q4: 建設業許可の更新時期が迫っていますが、何から手をつければよいでしょうか?
A4: まずは、現在の許可内容と実際の経営状況に乖離がないかを確認してください。役員の変更、営業所の移転、専任技術者の交代など、変更があったにもかかわらず変更届を提出していない場合は、早急に手続きを行う必要があります。同時に、決算変更届が毎年適切に提出されているか、社会保険への加入状況に問題がないかなども確認し、不足があれば準備を進めることをお勧めします。期限切れを防ぐためにも、早めに専門家へ相談することもご検討ください。
本記事では、建設業許可の基礎知識から、公共工事の入札参加に不可欠な経営事項審査(経審)の評価項目、そして特に中小建設業者様が効率的に点数を上げるための優先順位付けについて解説しました。X点(経営規模分析)やW点(社会性等評価)は比較的取り組みやすく、特に社会保険加入は法令遵守の観点からも最優先で対応すべき事項です。
建設業許可の取得・更新や経審対策は、多岐にわたる書類作成や要件確認が必要となり、ご自身で手続きを進めるには多くの時間と専門知識を要する場合があります。当事務所は行政書士・社会保険労務士として、大阪府の申請実務・審査傾向を熟知しており、建設業許可申請から経審対策、そして建設業に関わる労務管理や社会保険手続きまで、横断的にサポートすることが可能です。許可取得や経審点数向上を目指す建設業者様の事業発展を、多角的な視点から支援いたします。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
といったお悩みのある方は、
まずは一度ご相談ください。