建設業許可「経営事項審査」の基本を徹底解説!初めての申請から必要書類・点数アップのコツまで | リーガルシンク社労士・行政書士事務所
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建設業許可「経営事項審査」の基本を徹底解説!初めての申請から必要書類・点数アップのコツまで

2026.06.15

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の 許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

公共工事への参入を検討している建設業者様へ。

「経営事項審査(経審)って何?」「どうやって申請するの?」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。

公共工事を受注するためには、建設業許可に加えて「経営事項審査」を受けることが必須です。しかし、初めての申請では、その複雑な手続きや必要書類の多さに戸惑うことも少なくありません。

本記事では、経営事項審査の基本から、申請の流れ、必要書類、評価項目、さらには点数アップのポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説します。大阪府での申請実務を熟知している行政書士・社会保険労務士である私が、皆様の疑問を解消し、スムーズな申請をサポートするための情報を提供いたします。

本記事のポイント:

  • 経営事項審査(経審)の概要と重要性が理解できる
  • 申請手続きの具体的な流れと、大阪府での実務を踏まえた注意点がわかる
  • 必要な書類や費用、期間の目安を把握し、準備を進められる
  • 経審の点数アップに繋がる具体的な対策、特に社会性(W2)の向上策がわかる

目次

経営事項審査(経審)とは?公共工事受注の必須条件

経営事項審査(以下、経審)は、建設業者が公共工事の入札に参加するために、その会社の経営状況、経営規模、技術力、社会性などを客観的に評価する制度です。公共工事を受注したい建設業者様にとって、この審査を受けることは必須条件となります。

経審の目的と概要

経審は、建設業法 第27条の23に基づき、公共工事の適正な施工を確保する目的で実施されます。具体的には、入札に参加しようとする建設業者の以下の能力を数値化し、総合的に評価することで、発注機関が公正な業者選定を行えるようにします。

  • 経営状況:財務状態や収益性
  • 経営規模:完成工事高など
  • 技術力:技術職員の数や保有資格
  • 社会性:労働福祉の状況、法令遵守など

この審査結果は「総合評定値(P点)」として点数化され、各発注機関が実施する入札参加資格審査(いわゆる「指名願」)の際に用いられます。知事許可・大臣許可の種類にかかわらず、公共工事を請け負う場合は、この経審を受ける必要があります。

経営事項審査の評価項目

経審では、以下の項目が評価され、それぞれ数値化されます。これらの評価項目は、建設業法施行規則 第18条の3に定められています。

  • X1:完成工事高:過去2年間の年間平均完成工事高。会社の規模を示す主要な指標です。
  • X2:自己資本額・利払前税引前償却前利益(EBITDA):会社の財務的な安定性や収益力を評価します。
  • Y:経営状況:負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、成長性など、財務諸表から分析される経営指標です。登録経営状況分析機関によって分析されます。
  • Z:技術力:技術職員数や、元請として完成させた工事の実績を評価します。特に、監理技術者や主任技術者となり得る資格を持った技術者の数が重視されます。
  • W:社会性等:労働福祉の状況(社会保険加入状況など)、営業継続の状況、防災活動への貢献、法令遵守の状況、建設機械の保有状況、国際標準化機構が定めた規格による登録状況(ISOなど)、若年技術者及び研修を修了した技術者の育成及び確保の状況、知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況、ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況など、多様な側面から企業の社会貢献度や健全性を評価します。
  • P:総合評定値:上記X1、X2、Y、Z、Wの各項目を総合的に評価し、算出される最終的な点数です。このP点が、公共工事入札参加資格のランク付けに用いられます。

経営事項審査の申請手続きの流れ

経営事項審査の申請は、いくつかのステップを経て行われます。ここでは、大阪府を例に、具体的な流れと注意点を解説します。

ステップ1:決算変更届の提出

経審を受けるためには、まず毎事業年度終了後4ヶ月以内に、管轄の行政庁(大阪府知事許可の場合は大阪府)へ「決算変更届(事業年度終了届)」を提出している必要があります。

この決算変更届は、建設業許可を維持するために義務付けられている重要な手続きであり、経審の基礎となる工事実績や財務状況を届け出るものです。決算変更届が未提出の場合、経審の申請を受け付けてもらえませんので、必ず期限内に提出しましょう。提出書類には、工事経歴書や財務諸表などが含まれます。

なお、提出する財務諸表は、税務申告書と整合性が取れていることが求められます。税理士と連携し、正確な書類を作成することが重要です。

ステップ2:経営状況分析申請

決算変更届の提出が完了したら、次に「経営状況分析」の申請を行います。

この申請は、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関(民間の機関)に対して行います。主な提出書類は、会社の確定申告書(法人税申告書別表一、勘定科目内訳明細書など)や貸借対照表、損益計算書などです。

分析機関はこれらの書類を基に、会社の経営状況(Y点)を分析し、「経営状況分析結果通知書」を発行します。この通知書は、次のステップである経営事項審査申請の際に必要となります。

ステップ3:経営事項審査申請(大阪府の場合)

経営状況分析結果通知書を受け取ったら、いよいよ管轄の行政庁(大阪府知事許可の場合は、大阪府都市整備部住宅建築局建築指導室建築振興課)へ「経営事項審査申請」を行います。

大阪府の場合、経審申請は予約制となっており、事前に窓口で面談日時を予約する必要があります。面談では、提出書類の内容について詳細な確認やヒアリングが行われます。特に、技術職員の実態や工事実績の確認は厳しく行われる傾向にありますので、裏付けとなる資料(資格証明書、雇用契約書、請負契約書など)を漏れなく準備することが重要です。

申請書類は多岐にわたり、各項目の算出根拠を示す資料も必要となります。大阪府のウェブサイトで最新の要件や様式を確認し、不備のないように準備を進めましょう。都道府県によって手続きや必要書類が異なる場合がありますので、他府県で申請される場合は管轄の行政庁にご確認ください。

経営事項審査で必要な書類

経営事項審査では、多くの書類提出が求められます。ここでは、主な必要書類について解説します。

経営状況分析申請に必要な書類

経営状況分析機関へ提出する主な書類は以下の通りです。

  • 経営状況分析申請書
  • 確定申告書:法人税申告書別表一、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書など。個人事業主の場合は所得税確定申告書。
  • 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書:直近の事業年度のもの。
  • 工事経歴書、完成工事高内訳書:許可行政庁に提出した決算変更届の写し。
  • 建設業許可通知書の写し
  • その他、分析機関が指定する書類

これらの書類は、税務申告書と整合性が取れていることが非常に重要です。税理士と連携して、正確な数値を記載するようにしましょう。

経営事項審査申請に必要な書類(大阪府の場合)

大阪府に提出する主な書類は以下の通りです。都道府県によって異なりますので、他府県で申請される場合は管轄の行政庁にご確認ください。

  • 経営事項審査申請書:様式25号の11、25号の12、25号の14、25号の15など。
  • 工事経歴書:直近の決算期のもの。
  • 技術職員名簿:技術職員の氏名、資格、所属などを記載。
  • 各種技術資格証明書:監理技術者資格者証、技術検定合格証明書、免許証などの写し。
  • 技術職員の雇用関係を証する書類:雇用保険被保険者証の写し、健康保険証の写し、給与台帳など。
  • 労働福祉の状況を証する書類:健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況、退職金制度の有無を証明する書類など。
  • 建設機械の保有状況を証する書類:重機の登録証やリース契約書など。
  • ISO等の認証登録状況を証する書類:ISO9001、ISO14001などの認証登録証。
  • 納税証明書:法人税または所得税、消費税などの納税証明書。
  • 経営状況分析結果通知書:ステップ2で取得したもの。
  • その他、大阪府が指定する書類(大阪府の建設業許可・経営事項審査ウェブサイトで最新情報を確認してください。)

書類作成には専門知識が必要であり、不備があると審査が遅れる原因となります。ご自身で準備される場合は、事前に大阪府の窓口で相談することをお勧めします。

経営事項審査にかかる費用と期間の目安

経営事項審査の申請には、各種費用と一定の期間がかかります。計画的に準備を進めるためにも、目安を把握しておくことが大切です。

申請手数料・分析機関費用・行政書士費用

経審にかかる費用は、主に以下の3種類です。

  • 経営状況分析機関への手数料:分析機関によって異なりますが、1万5千円~3万円程度が一般的です。
  • 経営事項審査手数料:審査を申請する業種数によって変動します。例えば、1業種の場合で8,100円、2業種で10,100円、以降1業種追加につき2,500円(建設業法施行規則 第3条の2参照)といった金額が目安です。
  • 行政書士への依頼費用相場:ご自身で申請手続きを行うことも可能ですが、書類作成や複雑な計算、行政庁との調整などを専門家に依頼する場合の費用です。一般的に10万円~20万円程度が相場となります。会社の規模や業種数、書類の整備状況、加点対策の要否などによって費用は変動します。

当事務所にご依頼いただく場合も、上記の相場を参考に、申請内容に応じて個別にお見積もりを提示しております。

手続きにかかる期間の目安

経審全体の手続きにかかる期間は、書類の準備状況や各機関の混雑具合によって異なりますが、一般的には2ヶ月~4ヶ月程度を見込むことが推奨されます。

  • 決算変更届の提出:数日~1ヶ月程度(書類準備期間を含む)
  • 経営状況分析:申請から結果通知まで2週間~1ヶ月程度
  • 経営事項審査:申請から審査結果通知まで1ヶ月~2ヶ月程度(大阪府の場合、面談予約から審査、結果通知までの期間)

特に公共工事の入札参加時期が決まっている場合は、逆算して余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが重要です。

経営事項審査の点数を上げるには?社労士の視点も交えて解説

公共工事の入札競争を勝ち抜くためには、経審の点数を少しでも高くすることが重要です。ここでは、各評価項目の点数アップのポイントを、社会保険労務士の視点も交えて解説します。

経営状況(Y)の改善

Y点は企業の財務状況を示すため、短期間での大幅な改善は難しい場合がありますが、中長期的な視点での取り組みが有効です。

  • 自己資本比率の向上:増資を行う、あるいは利益を内部留保することで、自己資本を充実させます。
  • 収益性の改善:売上高を増加させつつ、原価率や販管費を削減することで、利益率を高めます。
  • キャッシュフローの健全化:現預金を増やし、資金繰りを安定させることで、負債抵抗力を高めます。

技術力(Z)の強化

Z点は、企業の技術力と実績を評価する項目です。

  • 技術職員数の増加:特に、監理技術者や主任技術者となり得る資格を持つ技術者を確保することが重要です。未取得の社員には資格取得を奨励し、会社としてサポートすることも有効です。
  • 元請完成工事高の実績アップ:下請工事だけでなく、元請として工事を完成させた実績を積み重ねることで、Z点の評価向上に繋がります。

その他の評価項目(W)の対策

W点は多岐にわたる項目で構成されており、計画的な取り組みで点数アップが期待できます。

  • ISO等の認証取得:品質マネジメントシステム(ISO9001)や環境マネジメントシステム(ISO14001)などの認証を取得することで加点されます。
  • 建設機械の保有状況の整備:工事に必要な重機などを自社で保有していると加点対象となる場合があります。
  • 防災活動への貢献:地域での防災活動への参加などが評価されることもあります。

【社労士視点】社会性(W2)の点数アップ戦略

W点の中でも「社会性等」は、労務管理や雇用環境が大きく影響する項目です。社会保険労務士の知見から、点数アップに繋がる具体的な戦略を解説します。

  • 労働福祉の状況(W2-1)建設業法施行規則 第18条の3第2項第5号に定められています。
    • 雇用保険・健康保険・厚生年金保険の適正な加入:全ての対象従業員が社会保険に適切に加入していることが大前提です。未加入がある場合は減点対象となるため、速やかな是正が必要です。
    • 退職金制度の導入:確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済(中退共)などを導入していると加点されます。従業員の福利厚生向上にも繋がり、採用面でも有利になります。
    • 法定外の労災補償:建設業では労災リスクが高いため、法定以上の労災補償制度を導入していると評価されます。
  • 若年技術者及び研修を修了した技術者の育成及び確保の状況(W2-9)建設業法施行規則 第18条の3第2項第9号に定められています。
    • 若年技術者の採用・育成計画:35歳未満の技術者を採用し、研修や資格取得支援を通じて育成している場合、加点対象となります。
    • 研修受講の奨励:建設業関連の研修や講習会への参加を奨励し、その費用を会社が負担するなど、従業員のスキルアップに努める姿勢も評価されます。
  • ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況(W2-11)建設業法施行規則 第18条の3第2項第11号に定められています。
    • 育児・介護休業制度の整備・活用:法定以上の育児・介護休業制度を設け、従業員が実際に利用できるような職場環境を整備していると加点されます。
    • 多様な働き方への対応:短時間勤務制度やテレワーク制度など、従業員が働きやすい環境を提供していることも評価の対象となります。

これらの労務管理に関する取り組みは、単に経審の点数を上げるだけでなく、企業のイメージアップや従業員の定着率向上にも繋がり、結果として事業の成長を後押しします。当事務所では、建設業の特性を踏まえた労務管理・社会保険手続きについても、許可申請と横断的にサポートすることが可能です。

Q&A:経営事項審査に関するよくある質問

ここでは、経営事項審査に関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q1:経営事項審査は毎年受けなければなりませんか?

A1:公共工事の入札参加を継続的に希望する場合、原則として毎年受ける必要があります。経審の有効期間は、審査基準日(決算日)から1年7ヶ月と定められています(建設業法 第27条の28)。この期間を超えて公共工事に入札参加するためには、有効期間内に次の経審を申請し、結果を取得していなければなりません。

Q2:許可を取ったばかりですが、経審は受けられますか?

A2:原則として、経審は決算書に基づき企業の経営状況を評価するため、最低1期分の決算が終了し、決算変更届を提出している必要があります。許可取得直後でまだ決算期を迎えていない場合は、経審を受けることができません。最初の決算が確定し、決算変更届を提出してから申請準備を進めることになります。

Q3:建設業許可の更新と経審は同時にできますか?

A3:建設業許可の更新と経審は、それぞれ独立した手続きであり、同時に行うことはできません。許可更新は有効期限の3ヶ月前から受け付けていることが一般的ですが、経審は決算日を基準に毎年申請可能です。

ただし、公共工事への入札参加を続ける場合、経審の有効期限と許可の有効期限を意識して、計画的に準備を進めることが重要です。例えば、許可更新のタイミングで経審の有効期限も切れるようであれば、更新期間中に経審も並行して進める、といったスケジュール管理が必要となります。

まとめ

本記事では、建設業許可における経営事項審査の基本について、初めての方にも分かりやすく解説しました。経審の目的と概要、申請手続きの流れ、必要書類、費用と期間の目安、そして点数アップのための具体的な対策まで、幅広い情報を提供いたしました。

公共工事への参入を目指す建設業者様にとって、経審は避けて通れない重要な手続きです。その複雑さから尻込みすることもあるかもしれませんが、適切な知識と準備、そして必要に応じて専門家のサポートを得ることで、スムーズに審査を乗り越えることができます。本記事で得た情報を参考に、ぜひ公共工事受注への第一歩を踏み出してください。

本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。

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