ブログ記事
2026.06.25
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
建設業許可取得を目指す上で、多くの方が頭を悩ませるのが「財産的基礎要件」ではないでしょうか。特に、独立・創業間もない事業者様や、財務状況に不安を感じる事業者様にとって、この要件クリアは重要な課題です。この記事では、建設業許可における財産的基礎要件の内容と、大阪府での申請実務を踏まえた具体的な財務改善策について解説します。ご自身の状況に応じて、許可取得に向けた具体的な準備を進める上での一助となれば幸いです。
この記事では、まず財産的基礎要件の基本的な考え方と、一般建設業許可と特定建設業許可で異なる具体的な要件を詳しく解説します。次に、大阪府での申請実務において必要となる書類や確認方法、そして最も重要な「財産的基礎要件をクリアするための財務改善策」を具体的にご紹介します。最後に、よくある疑問点をQ&A形式でまとめ、専門家への依頼費用目安にも触れていきます。
建設業許可は、貴社の事業を安定させ、さらなる発展へと導くための大切なステップです。ぜひ最後までご覧いただき、許可取得に向けてご活用ください。
建設業許可を取得するためには、建設業法に定められたいくつかの要件を満たす必要があります。その一つが「財産的基礎要件」です。これは、事業者が適切な財産的基盤を持っていることを求めるもので、建設工事を請け負う上で必要な資金力や信用力を測る重要な指標とされています。
建設工事は、資材の調達、職人の雇用、下請け業者への支払いなど、多額の資金が動く事業です。財産的基礎が不十分な事業者が工事を請け負った場合、資金繰りに行き詰まり、工事の遅延や中断、ひいては発注者や下請け業者への損害発生につながる可能性があります。このような事態を防ぎ、建設業における信用を維持し、適切な施工を確保するために、建設業法 第七条 第一号 ハおよび第二号 ハにおいて、許可申請者に一定の財産的基礎が求められているのです。
建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があり、それぞれ財産的基礎要件が異なります。貴社がどちらの許可を目指すかによって、求められる水準が大きく変わります。
一般建設業許可の財産的基礎要件は、以下のいずれかを満たすことです。
「自己資本」とは、貸借対照表の「純資産の部」の合計額を指します。個人事業主の場合は、期首資本金、事業主借勘定、事業主貸勘定、元入金などを総合的に判断して算出されます。また、「資金を調達する能力」とは、金融機関からの預金残高証明書などで、500万円以上の資金が確認できる状態を指すのが一般的です。
特定建設業許可は、元請として下請け業者に合計4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の工事を発注する場合に必要となる許可です。下請け保護の観点から、一般建設業許可よりもはるかに厳しい財産的基礎要件が課せられています。具体的には、以下のすべてを満たす必要があります。
これらの要件は、直近の貸借対照表や損益計算書に基づき判断されます。特に「流動比率」は、流動資産を流動負債で割った比率で、企業の短期的な支払い能力を示す指標です。これらの要件をクリアするには、計画的な財務戦略が不可欠となります。
大阪府で建設業許可を申請する場合、財産的基礎の確認は提出された書類に基づいて行われます。主な確認書類と、それぞれのポイントについて解説します。
法人の場合、財産的基礎要件の確認には、直近の確定申告書に添付されている貸借対照表(バランスシート)と損益計算書が原則として用いられます。これらの書類は、申請日を基準として最も新しい事業年度のものが求められます。
個人事業主の場合は、確定申告書に添付された貸借対照表(または事業主借勘定、事業主貸勘定、元入金がわかる書類)で確認されます。都道府県によって必要な書類や書式が異なる場合がありますが、大阪府ではこれらの書類を基に審査が進められます。
一般建設業許可における自己資本500万円の要件は、法人の場合、貸借対照表の「純資産の部」の合計額で判断されます。具体的には、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」などを合計した金額です。この合計額が500万円以上であれば要件を満たします。
個人事業主の場合、確定申告書の「貸借対照表」に記載されている「元入金」が自己資本の目安となります。ただし、事業主貸・事業主借の状況も考慮されるため、専門家と相談しながら判断することをお勧めします。
自己資本が500万円未満の場合でも、500万円以上の資金調達能力があれば、一般建設業許可の財産的基礎要件を満たすことができます。この資金調達能力は、以下のいずれかの方法で証明するのが一般的です。
一時的に資金を借り入れて残高証明書を取得し、すぐに返済するような行為は「見せ金」と判断され、許可が認められない可能性がありますのでご注意ください。
財産的基礎要件を現時点で満たしていない場合でも、諦める必要はありません。計画的に財務改善に取り組むことで、要件をクリアし、許可取得へとつながる可能性があります。ここでは、具体的な改善策をいくつかご紹介します。
自己資本を増やすことは、会社の安定性を示す上で最も直接的な方法です。
自己資本の増強と並行して、資金調達能力の確保も重要です。
建設業許可取得後も、許可の更新や経営事項審査(経審)において財務状況は常にチェックされます。そのため、日頃から計画的な財務管理を行うことが重要です。
財産的基礎要件について、よくあるご質問にお答えします。
A: 設立直後の会社でも建設業許可の取得は可能です。ただし、直近の決算期が到来していない場合は、設立時の貸借対照表を基に自己資本の額を判断します。また、500万円以上の資金調達能力を証明するために、金融機関の残高証明書や融資証明書が必要となる場合があります。経験の浅い設立間もない会社は、信用力が低く見られがちですが、しっかりとした事業計画と財務基盤を示すことで許可取得を目指すことは原則として可能です。
A: 建設業許可は5年ごとに更新が必要であり、その際にも財産的基礎要件が再確認されます。また、公共工事の入札に参加するために必須となる経営事項審査(経審)でも、財務状況が厳しく評価されます。経審では、自己資本額、流動比率、利益の状況などが点数化され、総合評定値(P点)に大きく影響するため、許可取得後も継続的に財務状況の健全化に努めることが重要です。
A: 個人事業主の場合も、法人と同様に500万円以上の自己資本または資金調達能力が求められます。自己資本は確定申告書の貸借対照表の「元入金」等で判断されるのが一般的です。資金調達能力は、事業主名義の預金残高証明書などで証明することが可能です。法人化を検討されている場合は、法人として許可を取得するか、個人事業主として取得するか、ご自身の状況に応じて判断することが大切です。
財産的基礎要件のクリアから建設業許可申請までの一般的な流れと、専門家への依頼費用目安について説明します。
財産的基礎要件を現時点で満たしていない場合、財務改善にかかる期間は、その内容によって大きく異なります。例えば、増資や役員借入金の資本金への振替であれば比較的短期間で対応可能ですが、金融機関からの融資や利益の積み増しには数ヶ月単位の時間が必要となる場合があります。特に、特定建設業許可の厳しい要件を満たすには、年単位の計画が必要となるケースも考えられます。
建設業許可申請は、必要書類が多く、財産的基礎要件を含め複雑な要件確認が求められます。特に財務面での改善策を検討する際には、会計士や税理士との連携も必要となる場合があります。専門家である行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
行政書士への依頼費用は、許可の種類(一般/特定)、申請内容(新規/更新/業種追加)、事業規模によって異なりますが、一般建設業許可の新規申請の場合、目安として15万円〜30万円程度が相場となることが多いようです。これに行政庁に支払う法定手数料(大阪府知事許可の場合9万円)が別途必要となります。具体的な費用については、依頼内容によって変動するため、複数の専門家に見積もりを取ることをお勧めします。
この記事では、建設業許可における「財産的基礎要件」について、その内容から具体的な確認方法、そして要件をクリアするための財務改善策まで、大阪府での申請実務を主軸に解説しました。建設業許可の取得は、事業の拡大や信用力向上に不可欠なステップであり、財産的基礎要件のクリアはその中でも特に重要な課題です。
現在、要件を満たしていない場合でも、増資や役員借入金の資本金への振替、金融機関からの融資、そして日々の地道な利益の積み増しといった計画的な財務改善策によって、許可取得の道は開かれます。また、許可取得後も、更新や経営事項審査の際に財務状況が確認されるため、継続的な財務管理が事業の安定に直結します。
建設業許可申請は複雑な手続きを伴うため、ご自身の状況に応じて、専門家である行政書士に相談することも一つの有効な手段です。当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
A: 建設業許可申請における「自己資本」とは、原則として法人の場合は貸借対照表の「純資産の部」の合計額を指します。具体的には、資本金、資本剰余金、利益剰余金などの合計額です。個人事業主の場合は、確定申告書の貸借対照表における「元入金」が目安となります。これが一般建設業許可では500万円以上、特定建設業許可では4,000万円以上であることが求められます。
A: いいえ、「見せ金」は通用しません。見せ金とは、一時的に資金を借り入れて預金残高証明書を取得し、すぐに返済するといった、実態のない資金を指します。このような行為は、虚偽申請と判断され、許可が取り消されたり、罰則の対象となる可能性があります。資金調達能力の証明には、実際に事業で利用できる資金であること、またはその調達能力があることが求められます。
A: 流動比率は、流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払い能力を示す指標です。75%以上をクリアするには、流動資産を増やすか、流動負債を減らすかのいずれかの対策が必要です。具体的には、売掛金の早期回収、不良在庫の圧縮、預貯金の積み増しで流動資産を増やす方法。また、短期借入金の長期借入金への借り換え、買掛金の支払いを計画的に行うことで流動負債を減らす方法などが考えられます。計画的な財務戦略が不可欠であり、専門家との連携が推奨されます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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