建設業許可と経営事項審査|社会性等評価(W点)を高める具体的な対策【大阪府の建設業者向け】 | リーガルシンク社労士・行政書士事務所
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建設業許可と経営事項審査|社会性等評価(W点)を高める具体的な対策【大阪府の建設業者向け】

2026.08.04

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の 許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

建設業許可を持つ事業者の皆様にとって、公共工事の受注に不可欠な経営事項審査(以下「経審」)は、企業の信頼性を示す重要な指標です。特に経審の「社会性等評価(W点)」は、単に入札ランクを向上させるだけでなく、企業の社会的責任を果たす姿勢を内外に示すことにつながり、優秀な人材の確保や定着にも大きく貢献します。

しかし、「W点の具体的な対策がわからない」「労務管理とどう関連するのか」といった疑問をお持ちの経営者様やご担当者様も少なくないのではないでしょうか。本記事では、大阪府を拠点とする行政書士・社会保険労務士である私が、W点の内訳から具体的な点数アップ対策、そして社会保険労務士としての知見を活かした労務管理の重要性まで、詳しく解説いたします。貴社の事業発展の一助となれば幸いです。

目次

社会性等評価(W点)とは?なぜ点数アップが必要なのか

社会性等評価(W点)とは、建設業者が企業としてどれだけ社会的責任を果たしているかを評価する項目です。経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加する際に必ず受ける必要があり、建設業者の経営状況や技術力だけでなく、この社会性も重要な評価対象となります。

W点の点数アップは、単に公共工事の受注機会を増やすだけでなく、以下のような多角的なメリットをもたらします。

  • 企業の信頼性向上: 法令遵守や福利厚生の充実を示すことで、取引先や金融機関からの評価が高まります。
  • 人材の確保と定着: 良好な労働環境や充実した福利厚生は、従業員のモチベーション向上に繋がり、優秀な人材の採用や定着に不可欠です。
  • 企業イメージの向上: 社会貢献や環境への配慮といった取り組みは、企業のブランドイメージを高め、地域社会からの信頼を得る上で重要です。

これらのメリットは、公共工事に直接関わらない事業者様にとっても、長期的な事業成長と安定に繋がる重要な要素となります。

W点の内訳と評価項目

社会性等評価(W点)は、建設業法施行規則 第17条の10別表第7に定められた複数の項目から構成されています。それぞれの項目について、具体的な内容と評価のポイントを解説します。

建設工事に係る法定外の労災補償への加入状況(W1)

建設工事で発生する労働災害は、従業員の生命や健康に直結する重大な問題です。W1では、国の労災保険(労働者災害補償保険法 第3条)だけではカバーしきれない部分を補償する、法定外の労災補償制度(任意労災保険など)への加入状況が評価されます。加入していることで、企業が従業員の安全と福利を積極的に考えている姿勢が示され、高い評価に繋がります。

建設業退職金共済制度への加入状況(W2)

建設業退職金共済制度(建退共)は、建設業で働く方々のために設けられた退職金制度です。加入することで、従業員は業界を移動しても退職金を通算できるメリットがあり、事業者様にとっても、人材の確保や定着、そして企業の社会性評価向上に繋がります。建退共への加入は、労働者の福祉向上に対する企業の取り組みとして高く評価されます。

退職一時金制度又は企業年金制度の導入状況(W3)

従業員の老後生活の安定を支援する退職一時金制度や企業年金制度(例: 確定拠出年金、確定給付企業年金など)の導入状況もW点の評価対象です。これらの制度は、従業員の長期的なキャリア形成を支援し、企業への帰属意識を高める上で非常に有効です。中小企業退職金共済制度(中退共)なども選択肢として検討できます。

法定福利費の状況(W4)

健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険といった法定福利費を適正に計上しているかどうかが評価されます。これらの保険への加入と保険料の適正な負担は、事業主の法的義務(健康保険法 第3条、厚生年金保険法 第6条、雇用保険法 第5条、労働者災害補償保険法 第3条)であると同時に、従業員の生活保障の基盤です。未加入や不適切な計上は、経審の評価を著しく下げるだけでなく、建設業許可の要件(建設業法 第3条、第26条、第27条の23)にも関わる重大な問題であり、行政処分や罰則の対象となる可能性もあります。当事務所は社会保険労務士として、貴社の社会保険・労働保険の加入状況や法定福利費の計上状況を詳細に確認し、適正な労務管理体制の構築をサポートいたします。

建設業に関するCPD単位の取得状況(W5)

CPD(Continuing Professional Development)単位とは、技術者の継続的な学習や能力開発を示す指標です。技術者がCPD単位を取得していることは、企業の技術力向上への取り組みや品質管理意識の高さを示すものであり、W点評価に繋がります。技術者のスキルアップは、結果として企業の競争力強化にも貢献します。

ISOの取得状況(W6)

ISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)などの国際規格認証を取得している場合も、W点評価の対象となります。これらの認証は、企業の品質管理や環境配慮に対する高い意識と取り組みを客観的に証明するものであり、顧客からの信頼獲得にも繋がります。

若年技術者及び若年技能労働者の育成及び確保の状況(W7)

建設業界の持続的な発展には、若手の育成が不可欠です。W7では、若年技術者や技能労働者(35歳未満)の育成・確保に対する具体的な取り組みが評価されます。例えば、新卒採用、OJT制度、研修制度の充実などが挙げられます。これらの取り組みは、将来の企業を支える人材を育てるだけでなく、企業の活力を高める効果も期待できます。

女性技術者及び女性技能労働者の活用状況(W8)

多様な人材の活躍は、企業の競争力向上に繋がります。W8では、女性技術者や女性技能労働者の採用、育成、活用に関する企業の取り組みが評価されます。育児休業制度の取得促進、時短勤務制度、女性が働きやすい職場環境の整備などが具体的な対策として挙げられます。男女問わず、誰もが働きやすい職場を目指すことは、W点アップだけでなく、企業文化の醸成にも寄与します。

ワークライフバランスに関する取組の状況(W9)

従業員が仕事と私生活のバランスを取りながら働ける環境を整備することは、W点評価において重要です。育児・介護休業制度の取得促進、年次有給休暇の取得促進、残業時間の削減、テレワーク制度の導入などが評価対象となります。これらの取り組みは、従業員の満足度を高め、離職率の低下にも繋がります。

登録基幹技能者の活用状況(W10)

登録基幹技能者は、現場で高度な知識と技能を持つ熟練労働者であり、他の技能労働者への指導・監督、施工計画の作成など、重要な役割を担います。W10では、登録基幹技能者を活用している状況が評価されます。彼らの専門性を活用することは、工事の品質向上や安全管理体制の強化に繋がり、企業の技術力と信頼性を高めます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況(W11)

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能労働者の就業履歴や保有資格を業界横断的に登録・蓄積するシステムです。W11では、このCCUSへの事業者登録、技能者登録、そして現場での積極的な活用状況が評価されます。CCUSの活用は、技能労働者の処遇改善やキャリアアップを促進し、業界全体の生産性向上に貢献します。すでに国土交通省も活用を推進しており、大阪府の経審申請実務においても、その重要性は高まっています。

W点アップのための具体的な取り組み【社労士の視点から】

社会保険労務士の専門知識は、W点対策において非常に重要な役割を果たします。特に、労務管理、社会保険、雇用保険に関する以下の取り組みは、W点アップに直結するとともに、企業の健全な成長を支える基盤となります。

法定福利厚生の適正化

W点対策の基本中の基本は、法定福利厚生を適正に実施することです。具体的には、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険への加入漏れがないか、保険料の計算・納付が正しく行われているかを確認します。これらの適正な実施は、W4(法定福利費の状況)の評価に直接影響するだけでなく、企業が果たすべき法的義務です。

未加入や不適正な運用は、行政指導や罰則の対象となるだけでなく、従業員の士気低下や離職に繋がりかねません。当事務所では、貴社の加入状況や手続きを詳細に確認し、法令遵守はもちろんのこと、従業員が安心して働ける環境整備をサポートいたします。

退職金制度・企業年金制度の導入

W2(建設業退職金共済制度への加入状況)とW3(退職一時金制度又は企業年金制度の導入状況)の点数アップには、以下の制度導入が有効です。

  • 建設業退職金共済制度(建退共)への加入: 業界全体の制度であり、従業員の福利厚生の充実を示す上で不可欠です。
  • 中小企業退職金共済制度(中退共)の導入: 建退共とは別に、中小企業向けの退職金制度として導入を検討できます。従業員の退職金準備を支援し、W3の評価に繋がります。
  • 確定拠出年金(iDeCo+等)の導入: 従業員が自ら掛金を拠出・運用し、老後の資産形成を行う制度です。企業が掛金の一部を負担することで、W3の評価対象となり、従業員満足度向上にも繋がります。

これらの制度導入は、複雑な手続きや制度設計を伴いますが、当事務所では貴社の状況に応じた最適な制度の選定から導入までを支援いたします。

労働環境の改善と人材育成

W7(若年技術者及び若年技能労働者の育成及び確保)、W8(女性技術者及び女性技能労働者の活用)、W9(ワークライフバランスに関する取組)の評価を高めるためには、以下の取り組みが有効です。

  • 若年層の採用・育成強化: 新卒採用の強化、OJT(On-the-Job Training)制度の充実、資格取得支援制度の導入など。
  • 女性活躍推進: 育児休業取得の推進、短時間勤務制度の導入、女性専用設備の整備など、女性が働きやすい環境を整備します。
  • ワークライフバランスの推進: 年次有給休暇の取得促進、残業時間の削減、育児・介護休業制度の周知徹底、柔軟な働き方の導入(例:時差出勤、テレワーク等)など。

これらの取り組みは、従業員の定着率向上や企業の生産性向上に直結します。当事務所では、就業規則の作成・変更、育児・介護休業規程の整備、ハラスメント対策など、労働環境改善に関する専門的なアドバイスを提供し、実践をサポートいたします。

CCUSの積極的な活用

W11(建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況)の点数アップには、事業者登録、技能者登録、現場でのカードリーダー設置による就業履歴の確実な記録が不可欠です。CCUSの活用は、技能者の能力評価の適正化や賃金向上に繋がり、建設業界全体の魅力向上に貢献します。大阪府の経審申請においても、CCUSの活用状況は重要な評価項目の一つとなっています。

まだCCUSを導入されていない事業者様は、早急な導入を検討されることをお勧めします。当事務所では、CCUSに関するご相談にも対応しております。

大阪府でのW点申請実務の注意点

経審の申請手続きは全国共通のルールに基づき行われますが、申請書類の提出方法や審査の細かな運用は都道府県によって異なる場合があります。

大阪府知事許可業者として経審を申請する際には、大阪府の指定する様式や添付書類を正確に準備する必要があります。特にW点に関する書類は、各種制度への加入証明書、労務管理に関する規程、教育訓練の実績を示す書類などが求められます。これらの書類は、実態と整合しているか厳しく審査されますので、日頃からの適切な管理が不可欠です。

例えば、法定福利費の状況については、健康保険や厚生年金保険の加入を証明する書類(保険料納入告知額・領収済額通知書など)や、雇用保険・労災保険の概算・確定保険料申告書控え、労働保険料領収済通知書などを正確に提出する必要があります。また、就業規則や退職金規程なども提出を求められる場合があります。

大阪府庁のウェブサイトでは、経審の申請に関する詳細な情報が提供されていますので、必ず最新の情報を確認するようにしてください。不明な点があれば、管轄の行政庁または専門家にご相談いただくことをお勧めします。

Q&A:W点に関するよくある疑問

Q1:W点は公共工事に関係ない中小企業でも重要ですか?

公共工事に直接関わらない中小企業様にとっても、W点の向上は非常に重要です。W点の高い評価は、企業の「社会からの信頼度」を示すバロメーターとなります。例えば、建設業許可は取得済みでも公共工事は受注しない、という事業者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、元請け業者からの信用を得るため、金融機関からの融資審査を有利に進めるため、そして何より優秀な人材を確保し定着させるために、社会性等評価は間接的に大きな影響を与えます。

社会的に責任ある経営を行っている企業として評価されることは、あらゆる事業活動において有利に働きます。従業員が安心して長く働ける環境は、会社の生産性を高め、結果として企業の成長を促します。

Q2:W点対策はどのくらい費用がかかりますか?

W点対策にかかる費用は、導入する制度や取り組みの内容によって大きく異なります。

  • 制度導入費用: 例えば、法定外の労災保険への加入や企業年金制度の導入には、保険料や掛金が発生します。建退共や中退共の掛金も同様です。
  • コンサルティング費用: 社会保険労務士に就業規則の作成・変更、労働環境改善に関するコンサルティングを依頼する場合、月額顧問料やスポットでの相談費用が発生します。具体的な費用は、ご依頼内容や期間によって異なります。
  • 行政書士への経審申請代行費用: 経審申請手続き全体の代行を専門家に依頼する場合、手続きの複雑さや事業規模にもよりますが、例えば大阪府知事許可の一般的な経審申請代行で10万円~20万円程度が目安となります。W点に関する書類作成や確認もこの中に含まれることが一般的です。

費用対効果を考え、自社に最適な取り組みから始めることが重要です。当事務所では、まず貴社の現状をヒアリングし、費用と効果のバランスを考慮した上で、具体的な対策をご提案いたします。

Q3:W点の評価項目で、特に力を入れるべきものはありますか?

すべての項目を網羅的に対策することが理想ですが、特に中小企業様にとって取り組みやすく、かつ評価への影響が大きい項目としては、以下のものが挙げられます。

  • W4 法定福利費の状況: これは企業の基本的な義務であり、未対応であれば経審評価以前に法令違反のリスクがあります。まずは適正な加入と計上を徹底することが最優先です。
  • W2 建設業退職金共済制度への加入状況: 建退共は比較的導入しやすく、従業員の福利厚生向上とW点アップの両方に貢献します。
  • W11 建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況: 近年、国土交通省が推進しており、今後の公共工事受注において重要性が増していくことが予想されます。早めに導入・活用を進めることで、優位性を確立できます。
  • W7 若年技術者及び若年技能労働者の育成及び確保の状況: 少子高齢化が進む建設業界において、若手育成は喫緊の課題です。具体的な育成計画や実績を示すことで、高い評価を得られます。

まずはこれらの項目から着手し、段階的に他の項目にも取り組んでいくことをお勧めします。

まとめ

本記事では、建設業許可をお持ちの事業者様が、経営事項審査の社会性等評価(W点)を高めるための具体的な取り組みについて解説しました。W点対策は、公共工事の受注機会を広げるだけでなく、企業の信頼性向上、人材確保、そして長期的な事業成長に不可欠な経営戦略です。

W点は多岐にわたる項目で構成されており、特に法定福利厚生の適正化、退職金制度の導入、労働環境の改善、そしてCCUSの積極的な活用は、社会保険労務士としての知見を活かせる重要な対策となります。

大阪府での申請実務においても、これらの取り組みを適切に実施し、正確な書類を準備することが、スムーズな経審申請と高い評価に繋がります。ご自身の状況に応じて、着実にW点アップのための準備を進めていきましょう。

本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。

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