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2026.10.02
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
「8年間、個人事業主として電気工事をやってきました。法人成りして建設業許可を取りたいのですが、この経験は使えますよね?」
このようなご質問をいただく際、安易に「大丈夫です」と即答することはできません。なぜなら、電気工事業は他の建設業種とは異なる、いくつかの特殊なルールが存在するからです。
特に重要なのは、電気工事業法により、請負金額が500万円以下の「軽微な建設工事」であっても、電気工事業登録が必須とされている点です。そして、この無登録期間での実務経験は、建設業許可における経営経験として認められない可能性があります。
つまり、たとえ長年実務に携わっていたとしても、電気工事業登録を経ていなければ、建設業許可の申請上は「経験ゼロ」と見なされてしまうケースがあるのです。
この記事では、電気工事業特有の落とし穴と、ご自身の経験を建設業許可申請に活用するための代替ルート、そして大阪府での手続きを踏まえた具体的な対応策について、行政書士・社会保険労務士の立場から詳しく解説します。
本記事のポイント
電気工事業は、建設業法と電気工事業法の両方に従う必要があり、特に以下の3つの特殊性が存在します。
建設業法 第3条第1項ただし書きでは、請負金額500万円未満の工事(建築一式工事の場合は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)は「軽微な建設工事」として、建設業許可が不要とされています。
しかし、電気工事業だけは例外です。電気工事業法 第3条により、電気工事を営業として行うには、工事金額に関わらず次のいずれかが必要です。
つまり、500万円未満の電気工事であっても、電気工事業登録なしで営業することはできません。
建設業許可の要件の一つに、許可を受けようとする建設業に関して適切な経営能力があることを示す「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」の配置があります。この要件を満たすためには、原則として5年以上の建設業に関する経営経験が必要です。
また、各営業所には「専任技術者」を配置する必要があり、こちらも原則として10年以上の実務経験、または関連する資格・学歴が求められます。
ここで重要なのは、電気工事業登録を経ていない期間の実務経験は、原則として建設業許可の常勤役員等や専任技術者の経験として認められないという点です。これは、電気工事業法違反の状態で行われた工事は、建設業許可の経験として評価できないという行政の考え方に基づいています。
例えば、個人事業主として電気工事業登録をせずに長年営業していた場合や、従業員時代に勤務先が電気工事業登録または建設業許可(電気工事業)を持っていなかった期間の経験は、建設業許可の経験としてカウントされない可能性があります。
建設業許可の専任技術者要件(電気工事業)は、以下のいずれかを満たす必要があります。
特に注意が必要なのは、第二種電気工事士の場合です。資格取得前の実務経験は、専任技術者要件を満たすための経験としてカウントされません。
例えば、無資格で5年間電気工事に従事し、その後に第二種電気工事士を取得した場合、専任技術者要件を満たすには、さらに資格取得後3年間の実務経験が必要です。
このような電気工事業特有の事情を踏まえ、法人成りして建設業許可を目指す際に確認すべき具体的なポイントを解説します。
まず最優先で確認すべきは、個人事業主として電気工事業登録をしていた期間があるかどうかです。
確認資料としては、都道府県知事が発行する「電気工事業登録証」や、登録年月日、登録番号、登録の有効期限(5年ごとの更新)が記載された書類が挙げられます。
もし電気工事業登録を経ていない期間がある場合でも、他の建設業種(例:内装仕上工事、管工事、建築一式工事など)を適法に行っていたのであれば、その経験を常勤役員等(経営経験)として使える可能性があります。
例えば、日頃の電気工事と合わせて、店舗の内装工事、空調設備工事、リフォーム工事なども行っていたとします。この場合、電気工事以外の部分を「内装仕上工事業」や「管工事業」、「建築一式工事業」などの経験として証明できる可能性があります。
具体的には、以下の資料で確認を行います。
これらの資料から、他の建設業種で5年以上の適法な経営経験が証明できれば、常勤役員等の要件を満たすことができます。
代表者ご自身の電気工事業登録がなく、電気工事業の経験が使えない場合でも、専任技術者の要件を誰が満たすかによって、許可取得の道筋が見えてきます。
例えば、代表者(法人成り後は代表取締役)が内装工事や管工事で5年以上の経営経験を証明できる場合、この経験で常勤役員等の要件を満たします。
そして、従業員の方に第一種電気工事士の資格を持つ方がいれば、その方を専任技術者として配置することで、電気工事業の建設業許可を取得することが可能です。
この場合のポイントは、建設業許可の常勤役員等は、「建設業に関する経営経験5年以上」であればよく、許可を取得する業種と同一である必要はないという点です。つまり、代表者が内装工事で5年以上の経営経験があれば、電気工事業の建設業許可を取得できるのです。
代表者ご自身が第一種電気工事士の資格をお持ちの場合、代表取締役が常勤役員等と専任技術者を兼ねることができます。
この場合、代表者の電気工事業登録の有無に関わらず、第一種電気工事士の資格で専任技術者要件を満たします。ただし、常勤役員等(経営経験5年以上)の証明は、電気工事以外の建設業種(内装工事、管工事など)での経験で行う必要があります。
代表者の経験が内装工事や管工事に集中している場合、まず内装仕上工事業や管工事業など、経験が豊富で証明しやすい業種の建設業許可を先に取得するという方法も有効です。
その後、電気工事業を業種追加する手続きを行います。この場合、業種追加時には専任技術者の資格・経験のみを証明すればよく、常勤役員等は既に許可取得済みのため再証明は不要となります。
電気工事業を適法に営むためには、工事金額に応じて次のいずれかの手続きが必要です。
| 工事金額 | 必要な手続 |
|---|---|
| 500万円未満 | 電気工事業登録(都道府県知事) |
| 500万円以上 | 建設業許可(電気工事業) |
建設業許可(電気工事業)を取得すれば、電気工事業登録は不要になります。ただし、建設業許可取得前に500万円未満の工事を受注する場合、法人名義での電気工事業登録が別途必要となる点に注意が必要です。また、許可取得後には「みなし登録電気工事業者」としての手続きを行う必要があります。電気工事業法 第3条、第34条の2
法人成り後、建設業許可を申請している間(審査期間は大阪府の場合、書類提出から概ね30日〜45日程度)に工事を受注する場合、次の対応が必要です。
ここでは、電気工事業で法人成りし、建設業許可を取得するまでの一般的な流れと期間について、大阪府での申請を想定して解説します。
まずは株式会社などの法人を設立します。この際、建設業許可の財産的基礎要件(自己資本500万円以上、または資金調達能力500万円以上)を満たすために、資本金を500万円以上とすることが一般的です。
期間目安:2〜3週間
法人設立後、建設業許可申請に必要な書類の収集と作成を行います。主な必要書類は以下の通りです。
これらの書類は非常に多岐にわたり、証明資料の不備があると審査が滞るため、正確かつ迅速な準備が求められます。
期間目安:1〜2週間(資料の揃い具合による)
全ての書類が揃ったら、大阪府の建設業許可申請窓口(大阪府都市整備部住宅建築局建築指導室建築振興課など)へ申請書を提出します。申請後は行政庁による審査が行われます。
審査では提出書類の内容が詳細に確認され、必要に応じて追加資料の提出や面談が求められることもあります。大阪府の場合、申請から許可通知までの標準処理期間は概ね30日〜45日とされていますが、書類の不備や申請時期によってはそれ以上かかることもあります。
期間目安:30日〜45日
これら全てを合わせると、法人設立から建設業許可取得まで、順調に進んだ場合でも約2.5〜3か月程度の期間が必要となるでしょう。大阪府以外の都道府県では、申請窓口や標準処理期間が異なりますので、管轄行政庁にご確認ください。
A1: 個人事業主として電気工事業登録をしていたかどうかは、都道府県知事から交付された「電気工事業登録証」で確認できます。登録証には登録年月日、登録番号、有効期限などが記載されています。もし登録証が見当たらない場合は、当時申請した都道府県の電気工事業担当部署に問い合わせることで、登録の有無や期間を確認できる場合があります。
A2: 建設業許可(電気工事業)を取得すれば、電気工事業登録は不要になります。しかし、法人成り直後から建設業許可を取得するまでの間(審査期間中)に、500万円未満の電気工事を請け負う予定がある場合は、法人として別途電気工事業登録をしておく必要があります。建設業許可取得後には、別途「みなし登録電気工事業者」としての手続き(通知)が必要です。
A3: いいえ、必ずしも同一の業種である必要はありません。建設業法が求める「建設業に関する経営経験5年以上」とは、特定の業種に限定されません。そのため、電気工事業の許可を申請する場合でも、内装仕上工事業や管工事業など、他の建設業種での経営経験が5年以上あれば、常勤役員等の要件を満たすことが可能です。
A4: 建設業許可の申請費用は、主に以下の3つに分けられます。
国土交通大臣許可の場合は、費用が異なります(新規15万円、業種追加5万円、更新5万円)。
電気工事業で法人成りし、建設業許可を取得する際には、他の建設業種にはない特別な注意点が存在します。
特に重要なのは、以下の3点です。
「長年電気工事に携わってきたから大丈夫だろう」と安易に判断せず、電気工事業登録の有無、他の建設業種の経験、専任技術者の資格を丁寧に確認することが、不許可リスクやスケジュール遅延を防ぐ上で極めて重要です。
建設業許可の取得は、元請企業からの信頼獲得や事業拡大の大きな一歩となります。ご自身の状況に応じて、適切な準備と手続きを進めるようにしましょう。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
といったお悩みのある方は、
まずは一度ご相談ください。