ブログ記事
2026.10.08
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
大阪府で建設業許可の取得を目指す設立1期目の法人様から、「まだ決算書がない状態でも許可は取れるのか?」「財産要件を満たせるか不安」といったご相談をよく頂戴します。確かに、設立間もない時期は、経営体制や財務基盤が確立途上であることが多く、建設業許可申請における要件、特に財産的基礎の証明に難しさを感じるかもしれません。
しかし、設立1期目の法人であっても、適切な準備と手続きを踏めば建設業許可の取得を目指すことは可能です。この疑問に対し、大阪府における建設業許可申請の実務経験に基づき、設立1期目の法人様が建設業許可を取得するためのポイントや、財産要件をクリアするための具体的な対策、さらには社会保険労務士としての視点から労務管理に関する注意点についても詳しく解説します。
建設業許可を取得するには、建設業法で定められたいくつかの要件を満たす必要があります。その一つが「財産的基礎」に関する要件です。これは、請負契約を適切に履行できるだけの十分な財産的裏付けがあることを指し、具体的には、経営状況や資金調達能力が問われます。
建設業法 第七条 第一号ハでは、一般建設業許可の財産的基礎の要件として、自己資本の額が500万円以上であること、または500万円以上の資金を調達する能力を有することが求められています。
一方、特定建設業許可の場合は、この財産要件がより厳しく設定されており、欠損の額が資本金の20%を超えないこと、流動比率が75%以上であること、資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であることといった詳細な基準が設けられています(建設業法 第十五条 第二号)。
本記事では、設立1期目の法人様が主に検討されることが多い一般建設業許可の財産要件に焦点を当てて解説を進めます。
設立1期目の法人様が建設業許可申請を行う際、最も課題となりやすいのが「財産的基礎」の証明です。特に「自己資本が500万円以上」という要件を、まだ決算を経験していない法人でどのように示すかという点が挙げられます。
一般的に、自己資本の額は、決算書(貸借対照表)によって証明されます。しかし、設立1期目の法人様の場合、まだ一度も決算を迎えていないため、正規の貸借対照表が存在しないことがほとんどです。
この場合、大阪府では、以下のいずれかの方法で財産的基礎を証明することが考えられます。
都道府県によって書類の取り扱いや必要となる日付の基準が異なる場合がありますので、申請先の行政庁の最新情報を確認することが重要です。
資本金が500万円に満たない場合でも、預金残高を合わせて500万円以上を証明できれば、財産要件をクリアできる可能性があります。この際、預金残高証明書は、申請書提出直前の日付(大阪府の場合、概ね4週間以内)で、金融機関で発行されたものが必要です。
注意点として、この預金は申請のための見せ金ではなく、事業活動に利用できる資金として会社に留保されていることが求められます。短期間に多額の資金が移動している場合などは、その経緯について説明を求められる可能性もあります。
設立1期目の法人が財産要件を満たすためには、以下のような具体的な対策が考えられます。
資本金が500万円未満で、かつ預金残高と合わせても500万円に満たない場合、最も直接的な解決策の一つは増資を行うことです。
増資は、会社の資本金を増やし、自己資本の額を増強する手続きです。増資が完了すれば、登記簿謄本の記載が変更され、それを財産要件の証明に利用することが可能となります。増資手続きには、株主総会の決議や法務局への変更登記申請が必要となるため、計画的に進める必要があります。
金融機関からの融資も、資金調達能力を示す有効な手段となり得ます。借入金そのものは自己資本には算入されませんが、融資によって調達された資金が会社の預金として保持されており、その金額が500万円以上であることを証明できれば、500万円以上の資金を調達する能力を有することという要件を満たす可能性が出てきます。
この場合も、融資契約書や金融機関の残高証明書など、客観的な資料を揃えて証明する必要があります。日本政策金融公庫などの公的機関からの融資も検討材料になるでしょう。
財産要件は重要な要素ですが、建設業許可はこれだけでなく、様々な要件を総合的に満たすことで取得できます。設立1期目の法人様も、これらの要件について同時に準備を進める必要があります。
建設業の経営経験を持つ人物を常勤役員として配置する必要があります(建設業法 第七条 第一号イ)。原則として、建設業に関し5年以上の経営経験、または建設業に関し2年以上の役員経験と5年以上の役員に準ずる地位での経営補佐経験などが求められます。過去記事でも詳しく解説していますので、ご参照ください。【建設業許可取得のための事前診断と不足要件の補完計画【大阪府対応】】
申請する建設業種ごとに、一定の国家資格を持つ者、または所定の実務経験を持つ者を各営業所に常勤で配置する必要があります(建設業法 第七条 第二号)。実務経験で証明する場合、その期間は原則として10年以上が求められますが、指定学科卒業の場合は期間が短縮されます。詳細は【建設業許可の要!専任技術者の指定学科と実務経験を証明する方法【大阪府対応】】をご覧ください。
法人、その役員、法定代理人、または政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められます(建設業法 第七条 第三号)。過去に建設業法や他の法令に違反し、罰金以上の刑を受けていないかなどが確認されます。
建設業の営業を行う事務所を、適切な権原のもとに設置している必要があります。物理的な独立性や執務スペースの確保などが求められることがあります。
建設業許可の要件として、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(雇用保険・労災保険)の適正な加入が求められます(建設業法 第七条 第四号)。
特に法人の場合、代表者一人であっても社会保険の適用事業所となり、加入が義務付けられます。雇用が発生する企業では、雇用保険・労災保険の加入も必須です。
大阪府への建設業許可申請時には、これらの保険の加入状況が確認され、未加入の場合には許可が得られない可能性があります。適正な加入は、法令遵守はもちろんのこと、従業員の福利厚生だけでなく、企業の信頼性向上、ひいては経営事項審査(経審)の評価にも影響します。詳しくは、【建設業許可と社会保険・労働保険|一体的な対応で企業信頼性と経営安定化を実現【大阪府対応】】の記事もご参照ください。
設立1期目の法人であっても、事業開始と同時に雇用関係が生じる場合は、速やかにこれらの保険手続きを進めることが重要です。当事務所では、建設業許可申請と並行して社会保険・労働保険の新規加入手続きについてもサポートが可能です。
大阪府で建設業許可を申請する場合の一般的な流れと、目安となる期間は以下の通りです。
書類の準備から許可取得までには、通常、数ヶ月程度の期間を見込むのが賢明です。特に設立1期目の法人様の場合、書類作成や要件確認に時間を要することがあるため、余裕を持ったスケジュールで計画を進めることをお勧めします。急ぎの申請については、【【大阪府対応】「2週間で建設業許可取得と入札参加」は可能か?急ぎの相談で知るべき現実と手続きの全体像】も参考にしてください。
建設業許可申請は、準備すべき書類が多く、法令解釈も複雑なため、専門家である行政書士に依頼される方も少なくありません。
一般建設業許可(新規申請)を当事務所にご依頼いただく場合の費用は、おおよそ15万円~30万円(税別)が目安となる場合が多いです。この費用には、事前の要件確認、必要書類のご案内、申請書類の作成、行政庁への申請代行などが含まれます。別途、申請には登録免許税や手数料といった実費(大阪府知事許可の場合、9万円の申請手数料)が発生します。
ご自身で手続きを進めるか、専門家に依頼するかは、以下の点を比較検討して判断することが考えられます。
設立1期目の法人様の場合、事業の立ち上げで多忙な時期でもありますので、専門家を上手に活用することも、円滑な事業展開の一助となるでしょう。
A1: はい、可能です。設立1期目で決算書がない場合でも、資本金の額や預金残高証明書などによって、財産的基礎の要件を証明する方法があります。大阪府では、創業時貸借対照表や、資本金と預金残高を合算して500万円以上を示す預金残高証明書などで対応が可能です。
A2: はい、取得できる可能性はあります。資本金が500万円未満であっても、金融機関が発行した預金残高証明書によって、資本金と預金残高の合計が500万円以上であることを証明できれば、財産的基礎の要件を満たしうると判断される場合があります。増資を行うことも一つの有効な手段です。
A3: 申請準備から許可取得まで、一般的には数ヶ月程度の期間を見込むのが賢明です。書類収集に1ヶ月〜数ヶ月、大阪府の審査に概ね1ヶ月が目安となります。特に設立1期目の法人様の場合、必要書類の確認や要件の充足に時間を要することが多いため、早めの準備開始が推奨されます。
設立1期目の法人様であっても、建設業許可の取得は十分に可能です。特に決算書がない場合の財産的基礎の要件については、資本金や預金残高証明書などを活用することでクリアできる道が開かれています。
財産要件の他にも、経営業務の管理責任者や専任技術者、誠実性、営業所の設置、そして社会保険・労働保険の適正加入といった複数の要件を網羅的に満たす必要があります。これらを計画的に準備し、一つひとつ着実にクリアしていくことが、建設業許可取得への近道となります。
設立1期目の法人様にとって、建設業許可申請は特に多くの疑問や不安が伴う手続きかもしれません。必要な要件を一つひとつ確認し、適切な準備を進めることが重要です。個別の状況に応じた最適な申請方法や、財産要件に関する具体的なご相談がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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