ブログ記事
2026.06.19
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
「建設業許可って、そもそもなぜ必要なの?」「うちの会社は小規模だから関係ないんじゃないか?」「許可がないと、金融機関からの信用が得られないって本当?」
建設業を営む皆様、あるいはこれから建設業での独立・開業を目指す方々にとって、建設業許可は漠然とした不安や疑問の種になっているかもしれません。特に、どこから手をつけて良いか分からない、といったお声もよく耳にします。
しかし、建設業許可は単なる行政手続きではなく、事業の成長と安定を支える重要な基盤です。許可を取得することで、受注できる工事の幅が広がり、社会的な信用も向上し、結果として金融機関からの融資を受けやすくなるなど、多くのメリットが生まれます。
本記事では、大阪府を主な活動拠点とする行政書士・社会保険労務士である私が、建設業許可の必要性から、知事許可と大臣許可、一般と特定の違い、そして許可取得の主要な要件までを、大阪府知事許可の視点を主軸に据えて分かりやすく解説します。この記事を通じて、皆様がご自身の状況に応じた判断を下し、次の行動へと繋がる具体的な情報を提供できれば幸いです。
本記事でわかること
建設業許可とは、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進するために設けられた制度です。建設業法(e-Gov法令検索 建設業法)に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負う事業者に対して取得が義務付けられています。
許可を持つことで、企業としての信頼性が向上し、事業規模の拡大や公共工事への参入など、より多くのビジネスチャンスを掴むことが可能になります。
建設業許可は、すべての建設工事で必要になるわけではありません。建設業法 第3条では、「建設業を営もうとする者は、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めていますが、例外も存在します。
許可が原則として不要な「軽微な建設工事」とは、以下のいずれかに該当する工事を指します。
つまり、請負金額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上または木造住宅で延べ面積150㎡以上)の工事を請け負う場合、建設業許可が「必要」となります。この金額は材料費や運送費など、すべてを含んだ請負金額で判断されます。たとえ自社施工部分が500万円未満であっても、元請として請け負う契約全体の金額が基準となる点にご注意ください。
建設業許可の取得には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
建設業許可には、事業規模や営業所の所在地によって大きく2つの分類があります。この違いを理解することが、適切な許可を選択する上で非常に重要です。
建設業許可は、建設業法 第3条第1項に基づき、事業所の所在地によって申請先が異なります。
例えば、大阪府内に本店と支店が複数あっても、それらが全て大阪府内であれば大阪府知事許可です。しかし、大阪府に本店、京都府に支店がある場合は国土交通大臣許可が必要になります。営業所の定義は、単なる工事現場ではなく、請負契約の締結や見積もり、資材の調達など、建設業に関する実体的な業務を行う場所を指します。
さらに、建設業許可は請負契約の規模に応じて「一般建設業」と「特定建設業」に分けられます。これは、建設業法 第3条第1項および同施行令第2条に規定されています。
特定建設業は、元請業者として下請業者を保護する役割があるため、一般建設業よりも厳しい要件が課せられています。特に財産的基礎の要件は、特定建設業の方が厳格です。
ご自身の事業状況に応じて、以下のポイントで判断してください。
これから許可を取得される多くの方は、まず「都道府県知事許可」の「一般建設業」からスタートされるケースがほとんどです。事業の拡大に伴い、特定建設業や大臣許可への切り替え、または追加申請を検討していくことになります。
建設業許可を取得するためには、建設業法 第7条および第8条に定められた厳しい要件を全て満たす必要があります。ここでは、大阪府知事許可の取得を例に、主要な要件を具体的に解説します。都道府県によって細かな運用や必要書類が異なる場合がありますが、基本的な考え方は共通しています。
建設業法 第7条第1号に規定される要件です。建設業の経営は、他の業種と比較して特殊性があるため、適切な経営管理体制が求められます。具体的には、以下のいずれかに該当する者を常勤役員等(法人では常勤の役員、個人事業主では本人または支配人)として配置する必要があります。
この要件は「経営業務の管理責任者等」と呼ばれ、許可取得の最も重要なハードルの一つです。経験期間は、建設業を適切に経営してきた実績を証明するもので、役員や個人事業主としての経験だけでなく、支店長や工事部長などの地位での経験も認められる場合があります。
建設業法 第7条第2号に規定される要件です。営業所ごとに、請け負う建設工事の種類に応じて、専門の知識や経験を持つ「専任技術者」を常勤で配置する必要があります。専任技術者は、以下のいずれかの資格・経験を持つ者である必要があります。
専任技術者は、その営業所に常勤し、専らその職務に従事していることが求められます。他の会社の役員を兼務している場合や、別の営業所の専任技術者と兼任することは原則として認められません。
建設業法 第7条第4号に規定される要件です。建設工事を適正に履行できるだけの財産的基礎または金銭的信用があることが求められます。要件は、一般建設業と特定建設業で大きく異なります。
いずれか一つを満たせば良いことになっています。多くの場合、金融機関からの残高証明書で500万円以上の預金があることを証明します。
より厳しい財産的基礎が求められます。以下の全ての要件を満たす必要があります。
特定建設業は、大規模な工事で下請業者を保護する立場にあるため、財務状況の健全性がより重視されます。
建設業法 第7条第3号に規定される要件です。請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれがないことが求められます。具体的には、申請者や役員、政令で定める使用人等が、過去に以下のような行為をしていないことが確認されます。
これらの行為は、社会的信用を損なうものであり、許可の取得や維持において厳しく審査されます。
建設業法 第8条には、許可を受けられない「欠格要件」が定められています。申請者(法人であれば法人自体、役員、政令で定める使用人)が、以下のいずれかに該当する場合は許可を受けることができません。
これらの欠格要件は、建設業を営む者としての適格性を判断する上で非常に重要です。
行政書士だけでなく、社会保険労務士としての知見から補足します。現在、建設業の許可申請においては、健康保険、厚生年金保険、雇用保険といった社会保険への加入が実質的に必須要件となっています。建設業法 第27条の23第3項にもあるように、経営事項審査(経審)においては、社会保険への加入状況が評価項目となっています。
法人の場合、従業員数に関わらず社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入義務があります。個人事業主で従業員を常時5人以上雇用している場合も同様です。社会保険に未加入の場合、新規許可の取得が困難になるだけでなく、許可の更新や経営事項審査の評点にも影響を及ぼします。
当事務所は社会保険労務士資格も有しておりますので、建設業許可申請と並行して社会保険の手続きについてもサポートが可能です。過去記事「建設業許可と社会保険:法人設立後の手続き、加入方法、必要書類を徹底解説」でも詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
建設業許可の取得は、多くの書類と手順を伴う複雑な手続きです。特に大阪府知事許可の申請を念頭に置き、一般的な流れと主な必要書類、費用目安について解説します。都道府県によって細部の手続きや書式が異なりますので、他府県での申請を検討されている場合は管轄の行政庁にご確認ください。
申請から許可が下りるまでの期間は、大阪府の場合、標準処理期間が概ね60日〜90日程度とされています。書類の不備や追加資料の要求があった場合は、さらに期間が延びる可能性があります。
大阪府知事許可申請に必要な書類は非常に多く、法人か個人事業主か、また申請する業種によっても異なりますが、主なものは以下の通りです。
これらはあくまで一部であり、実際に必要となる書類は数十種類に及びます。また、大阪府独自の様式や記載要領があるため、最新の情報を大阪府のウェブサイト(大阪府 建設振興室)で確認することが不可欠です。
建設業許可の取得には、行政手数料と専門家への依頼費用がかかります。
これは行政に支払う手数料であり、必ず必要となる実費です。国土交通大臣許可の場合は、新規許可で15万円、業種追加で8万円となります。都道府県によって異なります。
ご自身で申請することも可能ですが、多岐にわたる書類作成や要件確認には専門知識と時間が必要です。行政書士に依頼した場合の報酬は、一般的に以下のようになります。
これらはあくまで目安であり、事業規模や準備状況、依頼内容によって変動します。専門家に依頼することで、申請の確実性が高まり、ご自身の時間と労力を本業に集中させることができます。
はい、個人事業主の方でも建設業許可を取得することは可能です。法人と個人事業主で要件や必要書類に一部違いがありますが、基本的な許可要件(経営業務の管理を適切に行うに足りる能力、専任技術者、財産的基礎など)を満たせば取得できます。
はい、複数業種の許可を同時に申請することは可能です。例えば、内装仕上工事と大工工事の許可を同時に取得したい場合、それぞれの業種について専任技術者の要件を満たしていれば、一つの申請で複数の業種を申請できます。ただし、その分、専任技術者や実務経験の証明など、各業種に対応する書類の準備が増えます。
軽微な建設工事(請負金額500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)であれば、建設業許可がなくても請け負うことができます。しかし、500万円以上の工事を受注できないため、事業規模の拡大には限界があります。また、大規模な工事の発注元や元請業者は、下請業者にも許可を求める傾向が強いため、許可がないと取引の機会が制限される可能性が高まります。金融機関からの信用や融資についても、許可がないと不利に働くケースが多いでしょう。
はい、建設業許可は一度取得すれば終わりではありません。有効期間は5年間であり、継続して事業を行う場合は有効期間が満了する前に「更新」手続きが必要です。また、毎事業年度終了後4ヶ月以内には、財務状況などを届け出る「決算変更届」の提出が義務付けられています。商号変更、役員変更、本店移転など、登録事項に変更があった場合も「変更届」の提出が必要です。さらに、公共工事の受注を目指す場合は「経営事項審査(経審)」を定期的に受ける必要があります。これらの手続きを怠ると、許可の取り消しや事業活動に支障をきたす可能性があります。
建設業許可は、事業を健全に成長させ、信頼を築くための重要なステップです。許可が必要かどうか、どのような許可が自社に適しているのか、その判断は事業の将来を左右します。要件の確認から書類作成、申請まで、専門家である当事務所がお手伝いできます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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