ブログ記事
2026.07.17
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
建設業界では、高齢化や後継者不足から事業承継の重要性が高まっています。以前は原則として認められなかった建設業許可の承継が、2020年の建設業法改正により、一定の条件下で可能になりました。この制度は、事業の継続性を確保し、許可失効による事業中断のリスクを減らす上で非常に大きな意味を持つといえるでしょう。本記事では、建設業許可の承継制度の全体像から、大阪府における具体的な手続き、必要となる要件、そして社労士の視点から労務管理における注意点まで、詳しく解説していきます。
建設業許可は、建設業を営む上で重要な基盤となるものです。しかし、これまでは許可を取得した法人の合併や事業譲渡、個人の相続といった事業承継の場面で、原則として新たな許可を取り直す必要がありました。これにより、許可の途切れによる事業活動の中断や、改めて許可要件を満たすための時間的・経済的負担が事業承継の大きな障壁となるケースも少なくありませんでした。
こうした課題を背景に、2020年10月に施行された改正建設業法では、事業承継を円滑に進めるための新たな制度が導入されました。これにより、一定の要件を満たせば、合併、会社分割、相続といった場面で建設業許可を承継できる道が開かれました。
改正前:
原則として、被承継者(承継される側)の建設業許可は消滅し、承継者(承継する側)は新たに建設業許可を申請し直す必要がありました。このため、新規許可取得までの間は建設工事を請け負えない期間が生じたり、要件を満たすための準備に時間を要したりすることが一般的でした。
改正後:
一定の要件を満たす場合に限り、国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けることで、被承継者の建設業許可を承継者へ引き継ぐことが可能になりました(建設業法 第十七条の二〜第十七条の四)。これにより、許可が途切れることなく事業を継続しやすくなり、事業承継の円滑化が期待されています。
建設業許可の承継が認められるのは、以下の3つのケースです。
これらのケースにおいては、事前に所定の手続きを経て、管轄行政庁の認可を得る必要があります。
建設業許可の承継制度を利用するには、承継者(引き継ぐ側)が被承継者(引き継がれる側)と同様に、建設業許可の要件を満たしていることが求められます。これは、許可が与えられる目的である建設工事の適正な施工と発注者の保護を維持するためです。ここでは、特に重要な要件について解説します。
承継の認可申請において、被承継人だけでなく承継人にも、建設業許可に定められる各種要件を満たすことが求められます。具体的には、承継後も引き続き、建設業法で定められる以下の要件をクリアしている必要があります。
これらの要件については、承継申請時に厳しく審査されますので、事前の確認と準備が重要です。
財産的基礎:
一般建設業許可の場合、自己資本が500万円以上、または500万円以上の資金を調達する能力があること(建設業法施行規則 第十八条)。特定建設業許可の場合は、さらに厳しい要件が課せられます。承継後もこの財産的基礎が維持されることを、直前の決算書や預金残高証明書などで示す必要があります。
経営業務管理責任者:
建設業の経営業務について一定の経験を持つ者が役員等として常勤していること(建設業法 第七条第一号)。承継後も、この要件を満たす経営業務管理責任者を確保できるかが重要なポイントとなります。引き継ぐ側の役員の中に、要件を満たす方がいるか、あるいは新たに迎えることができるかを確認します。
専任技術者:
営業所ごとに、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格または実務経験を持つ技術者が常勤していること(建設業法 第七条第二号)。承継後も各営業所に適格な専任技術者が配置されていることが求められます。技術者の異動や新規雇用が必要となる可能性も考慮し、計画的に準備を進めることが大切です。
承継者(法人または個人)およびその役員、法定代理人などが、建設工事の請負契約に関して不誠実な行為をするおそれがないことが求められます(建設業法 第七条第三号)。具体的には、過去に建設業法やその他関連法令(建築基準法、労働基準法、刑法など)に違反し、罰金以上の刑を受けていないかなどが確認されます。承継申請時、承継人側に欠格要件に該当する事実がないか、事前に十分に調査することが重要です。
建設業許可の承継には、大きく分けて「合併」「分割」「相続」の3つのケースがあります。それぞれのケースで申請に必要な書類や手続きの流れが異なるため、ご自身の状況に合わせた準備が求められます。ここでは、大阪府における申請実務を踏まえ、それぞれの承継手続きについて解説します。
なお、これらの手続きは、原則として被承継者(承継される側)の建設業許可が有効である間に、管轄の行政庁に対して認可申請を行う必要があります。大阪府知事許可の場合、大阪府庁の建設業許可担当窓口が申請先となります。
法人が他の法人と合併し、存続する法人または新設される法人が建設業許可を承継するケースです。
法人がその事業の一部または全部を分割し、他の法人に承継させる会社分割を行い、事業を承継する法人が建設業許可を引き継ぐケースです。吸収分割と新設分割の両方が対象となりえます。
個人事業主であった建設業者が亡くなった場合に、その相続人が事業を承継し、建設業許可を引き継ぐケースです。
大阪府知事許可の場合、認可申請は大阪府庁の建設業許可担当部署にて受け付けられます。具体的な流れは以下の通りです。
審査期間は、申請内容の複雑さや書類の完璧さ、行政庁の混雑状況によって大きく変動する可能性があります。余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが賢明です。
建設業許可の承継認可申請には、多岐にわたる書類の準備が求められます。これらの書類は、承継者・被承継者がそれぞれ建設業法の要件を満たしていることを証明するためのものです。書類に不備があると、審査が大幅に遅延したり、最悪の場合、不認可となる可能性もあります。ここでは、主な必要書類と、書類作成・準備における注意点について解説します。
承継の種類(合併・分割・相続)によって具体的な書類は異なりますが、一般的に以下のような書類が必要となる可能性があります。詳細については、大阪府の建設業許可関連の公式案内をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。
これらの書類はあくまで一般的な例であり、申請者の状況や承継の種類によって追加で必要な書類や、特定の書式が求められる場合があります。
事業承継は、建設業許可の承継手続きだけでなく、従業員の雇用関係や社会保険、労働保険の手続きにも大きな影響を与えます。特に合併や分割、事業譲渡の際には、労務管理面での適切な対応が求められます。ここでは、社会保険労務士の視点から、建設業許可の承継に伴う労務管理・社会保険に関する注意点を解説します。
合併や会社分割の場合、労働契約の承継について、労働契約承継法や会社法に基づき、原則として従業員の雇用関係は承継先に引き継がれます。しかし、分割の場合には、どの従業員をどの承継会社が引き継ぐかについて、事前に労働者との協議や労働組合との合意形成が重要となる場合があります。従業員との間のトラブルを避けるためにも、以下の点に配慮することが望ましいでしょう。
承継の形態によって、社会保険(健康保険・厚生年金保険)や労働保険(雇用保険・労災保険)の手続きは異なります。
これらの手続きは、関係行政機関(年金事務所、ハローワーク、労働基準監督署)への届出が必須です。期限内に正確な手続きを行うことが、従業員の不利益を防ぎ、法令遵守を維持するために重要です。
事業承継は、従業員にとって不安を感じやすい時期でもあります。労務トラブルを未然に防ぎ、スムーズな移行を実現するためには、以下のポイントが考えられます。
当事務所は、建設業許可申請だけでなく、このような労務管理面についても横断的にサポートすることが可能です。
建設業許可の承継認可申請は、通常の新規申請や更新申請と比べても、その複雑さや準備すべき書類の多さから、専門的な知識と経験が求められる手続きです。ご自身で対応することも可能ですが、多くの時間と労力を要する場合があります。ここでは、行政書士に依頼した場合の費用相場の目安と、専門家を活用するメリットについて解説します。
建設業許可の承継認可申請を行政書士に依頼する場合の費用は、承継の形態(合併・分割・相続)、事業規模、書類の収集状況、難易度などによって大きく異なります。あくまで目安としてですが、一般的に20万円〜50万円程度が報酬相場として考えられるでしょう。これに加えて、申請手数料(認可手数料)が別途発生します。
正確な費用については、ご依頼内容や事案の状況によって個別に見積もりが提示されることが原則です。当事務所でも、ご相談内容に応じてお見積りを作成いたします。
行政書士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットが期待できます。
建設業許可の承継は、事業の将来を左右する重要な手続きです。ご自身の状況に合わせて、専門家への依頼を検討されることをおすすめします。
建設業許可の承継制度に関して、お客様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。
承継認可を受けた場合でも、承継された建設業許可の有効期間は、被承継者の許可残存期間を引き継ぐことが原則です。つまり、新たに5年間の許可期間が付与されるわけではありません。許可の有効期間が短い場合は、承継後に許可の更新申請を検討する必要があります。
はい、一般建設業許可と特定建設業許可のいずれも、承継制度の対象となります。ただし、特定建設業許可を承継する場合、承継法人が特定建設業許可のより厳しい要件(財産的基礎など)を満たしている必要があります。承継前に要件を十分に確認しておくことが重要です。
承継制度は、あくまで「一定の要件を満たす場合に限り」認められるものです。例えば、以下のようなケースでは、承継が認められない可能性があります。
ご自身のケースで承継制度が利用できるか不安な場合は、管轄行政庁または専門家にご相談いただくことをおすすめします。
本記事では、2020年法改正によって新設された建設業許可の承継制度について、その概要から具体的な手続き、必要となる要件、そして労務管理における注意点まで解説しました。事業承継は、企業の存続と発展にとって非常に重要なプロセスであり、建設業許可の円滑な引き継ぎはその成功の鍵を握るといえるでしょう。
大阪府で建設業を営む皆様にとって、この承継制度は事業の継続性を確保し、将来に向けた選択肢を広げるものです。複雑な手続きや専門的な要件の確認には、時間と労力がかかりますが、計画的に準備を進めることで、円滑な承継が期待できます。ご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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