ブログ記事
2026.06.30
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
建設業者の皆様にとって、公共工事の受注は事業拡大の大きな柱となり得ます。そのためには、建設業許可に加えて「経営事項審査(経審)」で高い評価を得ることが重要です。特に経審の総合評定値(P点)を大きく左右するのが、財務状況を評価する「Y点(経営状況)」です。Y点を向上させることは、入札競争力の強化に原則として直結します。
「うちの会社のY点がなかなか上がらない」「具体的に何を改善すれば良いのか分からない」といったお悩みを抱える建設業者の皆様に向けて、本記事では、経審のY点改善に焦点を当て、財務健全化のための具体的な実践テクニックを行政書士・社会保険労務士の立場から詳しく解説いたします。大阪府をはじめ、近畿圏で事業を展開される建設業者の皆様のご参考になれば幸いです。
経審のY点(経営状況)を改善するためには、自己資本比率、利益剰余金、流動比率、負債比率などの財務指標を戦略的に向上させることが重要です。具体的には、増資や利益の内部留保、適切な原価管理、そして資金繰りの最適化が実践的な改善策として考えられます。これらの取り組みは、公共工事受注における競争力強化に直結します。
公共工事を受注するためには、建設業許可を受けている建設業者に対して国土交通大臣または都道府県知事が行う「経営事項審査(経審)」を受ける必要があります。この経審の評価項目の一つに、企業の財務状況を評価する「Y点(経営状況)」があります。
経審では、大きく分けて以下の項目が評価されます。
これらの各評価項目を合計して算出されるのが、「総合評定値(P点)」です。P点は、公共工事の入札参加資格審査において、各発注機関(国、地方公共団体など)が入札参加資格を決める際の重要な指標となります。Y点は、このP点を構成する重要な要素の一つであり、企業の財務体質を客観的に示すものです。Y点の評価が高ければ高いほど、原則としてP点も高くなり、結果として公共工事の受注競争において有利になると考えられます。
Y点では、直前の決算期における貸借対照表と損益計算書から算出される以下の8つの財務指標が評価対象となります。
これらの指標は、それぞれ個別に点数化され、その合計がY点として評価されます。点数化には、建設業法施行規則 第34条の4により定められた計算式が用いられます。この計算式は、原則として全国共通ですが、詳細は国土交通省のウェブサイトなどで確認できます。
ここからは、Y点を構成する8つの指標のうち、特に改善効果が期待できる項目に焦点を当て、具体的な財務健全化の実践テクニックを解説いたします。
自己資本比率は企業の安定性を示す重要な指標です。この比率が高いほど、外部からの借入に依存しない堅実な経営が行われていると評価され、Y点向上に寄与します。
会社が新規株式を発行し、株主から出資金を受け入れることで、資本金を増やす方法です。これにより自己資本が増加し、自己資本比率が向上します。特に、創業間もない企業や財務基盤が弱い企業にとっては、重要な改善策の一つです。
企業が上げた利益を配当として外部に流出させず、社内に留保することで、利益剰余金(繰越利益剰余金)が増加し、自己資本が増強されます。これは最も健全な自己資本の増やし方と一般的に考えられます。
役員報酬を適正な水準に見直すことも、経常利益、ひいては利益剰余金に影響を与える可能性があります。報酬が高すぎる場合は利益を圧迫し、自己資本の蓄積を妨げる要因となることがあります。税務上の観点からも、過大な役員報酬は損金不算入となるリスクもあるため、慎重な検討が求められます。国税庁のサイトなどを参考に、適正な水準を検討することが推奨されます。(参照:国税庁 役員報酬)
利益剰余金は、企業の過去からの利益の蓄積であり、財務の安定性を示す指標です。Y点の改善には、経常利益を増やし、利益剰余金を着実に積み上げることが重要です。
無駄な経費を削減し、投資の効果を最大化することで、利益率を高めることができます。例えば、事務所の賃料や車両費、消耗品費など、あらゆる経費を定期的に見直し、削減可能な項目がないか検討します。
建設業においては、工事原価の管理が利益に直結します。材料費、労務費、外注費などの原価を徹底的に管理し、見積もり段階から適切な利益が確保できるよう、精度の高い原価計算を行うことが重要です。また、工事進行中のコストオーバーランを抑制するための進捗管理も欠かせません。
これらの比率は、企業の短期的な支払い能力や、資産と負債のバランスの健全性を示すものです。流動比率は高い方が良く、固定比率は低い方が良いと一般的に評価されます。
流動比率を改善するためには、手元流動性(現金、預金など)を高め、短期的な負債(買掛金、短期借入金など)を抑制することが効果的です。日々の資金繰り計画を綿密に立て、不必要な借入を避けることが重要です。
固定資産を自己資本で賄えているかを示す自己資本対固定資産比率もY点に影響します。不要な土地や建物、機械設備などの遊休資産を処分することで、固定資産を圧縮し、自己資本比率の改善にもつながります。また、資産を売却せずとも、賃貸やリースなどで有効活用し、収益を生み出すことも検討できます。
負債比率は、企業の財務リスクを示す指標です。負債比率が低いほど、財務体質が健全であると評価され、Y点向上に寄与します。
銀行借入などの有利子負債は、企業の利息負担となり、利益を圧迫します。計画的な返済により、有利子負債を削減することは、純支払利息比率や自己資本対長期借入金比率の改善に直結します。
安定したキャッシュフロー(現金収支)を確保することは、負債返済能力の向上に不可欠です。売上代金の早期回収や仕入・外注費の支払い条件の見直し、適切な運転資金の確保を通じて、キャッシュフローを改善することで、有利子負債への依存度を低減できます。
Y点評価項目の一つである「総資本回転期間」や「売上高経常利益率」は、完成工事高(売上高)が大きく影響します。適切な営業活動により完成工事高を維持・向上させることは、Y点評価全体の底上げにつながります。特に、大阪府では中小企業向けの支援制度なども活用し、営業努力を続けることが重要です。
Y点(経営状況)とは直接的に関連しませんが、経審のW点(社会性等)においては、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況が評価項目となっています。社会保険の適正な加入は、建設業許可の要件の一部であり、公共工事受注の前提でもあります。未加入や不適正な加入は、W点の大幅な減点につながるだけでなく、建設業法 第27条の28(建設業者に対する指導及び助言)などに基づく指導の対象ともなり得ます。社会保険労務士の立場から、これらの労務管理の側面も合わせて適切に対応されることを推奨いたします。
経審のY点評価は、直前の会計期間(決算期)の財務諸表に基づき行われます。そのため、決算期に向けて財務改善策を実施し、その効果が財務諸表に反映されるよう計画的に進める必要があります。例えば、決算期直前に増資を行う、利益を内部留保するといった具体的な行動が考えられます。一般的に、財務状況は一度の決算で劇的に改善することは難しいため、中長期的な視点での計画が重要です。
Y点改善のための財務健全化は、会計や税務に関する専門知識を要することが多く、複雑な側面を伴います。税理士と連携して正確な財務諸表を作成し、行政書士と連携して経審申請を行うことで、スムーズかつ適切な手続きを進めることができます。
私のような行政書士・社会保険労務士は、建設業許可申請から経審、さらにはその後の労務管理や社会保険手続きまで、建設業者の皆様の事業を多角的にサポートすることが可能です。特に大阪府での申請実務や審査傾向を熟知しておりますので、ご自身の状況に応じた最適なアドバイスを提供することが期待できます。
A1: Y点の評価は、直前の決算期における貸借対照表と損益計算書に記載された8つの財務指標(自己資本比率、利益剰余金など)に基づいて算出されます。それぞれの指標に点数が割り当てられ、その合計点数がY点となります。計算方法は建設業法施行規則第34条の4に規定されており、全国共通の基準です。
A2: Y点改善の効果は、実施する財務健全化策の種類や企業の状況によって異なります。増資や遊休資産の処分などは比較的短期間で効果が表れることがありますが、利益の内部留保や負債返済による自己資本比率の向上などは、数年単位の中長期的な取り組みとなることが一般的です。計画的な視点を持って取り組むことが重要です。
A3: 経審の申請は、建設業許可の有効期間中であればいつでも可能ですが、公共工事の入札参加資格申請の時期を考慮して計画することが一般的です。経審結果の有効期間は審査基準日から1年7ヶ月ですので、入札参加を希望する年度の直前に申請することが原則として望ましいとされています。大阪府知事許可の場合、審査基準日は決算日となるため、決算後速やかに準備を進めることが推奨されます。
本記事では、建設業者の皆様が公共工事受注を目指す上で不可欠な、経審のY点(経営状況)改善に向けた財務健全化の実践テクニックを解説しました。自己資本比率の向上、利益剰余金の確保、流動性・固定比率の最適化、そして負債比率の低減など、多角的な視点から財務体質を強化することが、結果としてY点評価を高め、公共工事の受注競争における貴社の優位性を確立することにつながります。
これらの財務健全化は、一時的な対策ではなく、企業の持続的な成長のための戦略的な経営判断の積み重ねです。もし「具体的に何から始めれば良いか分からない」「財務諸表の見方や改善策の検討に不安がある」といったお悩みをお持ちでしたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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