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2026.09.22
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
現在、大阪府知事許可をお持ちの建設業者様で、「県外にも営業所を増やしたいけれど、どのような手続きが必要なのか」「今の知事許可のままで問題ないのか」といった疑問をお持ちではありませんか?
建設業許可に関するご相談の中で、「県外に営業所を作る場合、届出だけで大丈夫ですよね?」というご質問をよくお受けします。結論から申し上げますと、2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業活動を行う場合、知事許可から国土交通大臣許可への「許可換え新規申請」が必要となります。
この手続きは、単なる届出とは異なり、新たな許可申請と同様に時間と手間がかかります。また、許可が下りるまでの期間は、新しい営業所で工事の契約を締結することはできません。
本記事では、建設業許可を持つ事業者が県外に営業所を設置する際に知っておくべき手続きの全体像、特に見落としがちな専任技術者の要件、そして大阪府から大臣許可へ切り替える際のポイントについて、行政書士・社会保険労務士の専門家として詳しく解説いたします。建設業の健全な発展と法令遵守のために、ぜひご一読ください。
建設業許可は、その許可を与える行政庁によって「知事許可」と「大臣許可」の2種類に大別されます。県外に営業所を設けることを検討する際、この違いを正確に理解することが重要です。
建設業許可は、建設業法 第3条に基づき、建設工事を請け負うために必要な許可です。この許可は、営業所の所在地によって、以下のいずれかの行政庁から付与されます。
許可の種類は、建設工事の施工場所ではなく、「営業所の所在地」によって決まります。例えば、大阪府知事許可を持つ建設業者が、奈良県や京都府の工事を請け負うことは可能です。
しかし、大阪府に営業所があり、さらに京都府にも営業所を新設して、両方の営業所で契約締結等の営業活動を行う場合は、国土交通大臣許可が必要となります。
現在、特定の都道府県知事許可(例:大阪府知事許可)をお持ちの建設業者様が、その都道府県以外の別の都道府県に新たな営業所を設置し、その営業所でも建設工事の請負契約を締結する等の営業活動を行う場合、「国土交通大臣許可」への切り替えが必須となります。
この切り替えは、単なる変更届ではなく、新規で大臣許可を取得し直す手続きとなるため、一般的に「許可換え新規申請」と呼ばれます。これは、建設業法 第3条第1項に定められる許可の要件に関わる重要な変更です。
許可換え新規申請の手続きについては、後述の「4. 大臣許可への「許可換え新規申請」の手続きと費用」で詳しく解説します。
建設業許可を持つ事業者が県外への営業所展開を検討する際、いくつかの誤解や見落としから、意図せず法令違反を犯してしまうケースが見受けられます。ここでは、特に注意すべき点を解説します。
「大阪府知事許可を持っているから、隣の県に営業所を作っても、届出だけで営業できるだろう」という誤解は非常に多いです。しかし、前述の通り、2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業活動を行う場合、国土交通大臣許可への切り替えが必須です。
知事許可のまま県外に営業所を設置し、そこで契約を締結するなどの営業活動を行うことは、無許可営業とみなされる可能性があります。
「本社の専任技術者が、新しく作る県外営業所の専任技術者も兼任できるのではないか」という質問もよくお受けします。
しかし、建設業法 第7条第2号イおよびロに規定される専任技術者は、「各営業所に常勤していること」が要件です。これは、原則として、一人の専任技術者が複数の営業所を兼任することはできないことを意味します。新設する県外営業所には、別の専任技術者を新たに配置する必要があります。
これは、建設工事の適正な施工を確保するため、各営業所で技術的な指導や管理を行う専門家が常時配置されていることを求める趣旨です。詳細については、建設業許可の専任技術者、複数配置のメリットと要件【大阪府対応】事業拡大の鍵もご参照ください。
新しい営業所に配置する予定の担当者が、「何年か実務経験があるから、専任技術者になれるだろう」と安易に考えてしまうケースです。
建設業の専任技術者には、特定の国家資格の保有、または指定学科の卒業と一定期間の実務経験など、厳格な要件が定められています。例えば、内装仕上工事の場合、原則として10年以上の実務経験が必要となります(指定学科卒業や資格があれば短縮可能)。「約8年」といった曖昧な経験では、要件を満たさない可能性が高いです。
要件を満たさないまま申請を進めると、不許可になるだけでなく、時間と費用が無駄になってしまいます。専任技術者の要件については、建設業許可の要!専任技術者の指定学科と実務経験を証明する方法【大阪府対応】でも詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
上記の誤解から、不適切な手続きのまま県外営業を開始してしまうと、無許可営業とみなされる重大なリスクがあります。
建設業法 第11条では、無許可営業に対する罰則として、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が科される可能性があります。また、発覚した場合には、現在の知事許可も取り消されるなど、事業継続に致命的な影響を及ぼすことになります。
許可取得前に契約・着工してしまうことも違法行為であり、今後の取引先の信用を失いかねません。許可換え新規申請には標準で90~120日程度の処理期間がかかるため、事前の綿密な計画が不可欠です。
大臣許可への許可換え新規申請を成功させるためには、特に「専任技術者」と「営業所の実態」に関する要件を厳格に確認し、必要な資料を漏れなく揃えることが極めて重要です。ここでは、申請を進める上で最初に確認すべきポイントを解説します。
新設する県外営業所には、必ず専任技術者を常勤させる必要があります。この専任技術者が、建設業法 第7条第2号に規定される要件を満たしているかを徹底的に確認することが、申請の可否を分ける最重要ポイントです。
専任技術者の要件(内装仕上工事を例に)
「約8年」といった曖昧な実務経験では、10年要件を満たしません。また、指定学科を卒業しているかどうかも、必要となる実務経験年数が大きく変わるため、必ず確認すべき点です。
専任技術者の実務経験は、本人の申告だけでは認められません。客観的な一次資料に基づき、その内容を証明する必要があります。以下に主な証明資料の例を示します。
特に「実務経験」は、単に建設会社に勤めていた期間ではなく、申請する建設業種に関する実務である必要があります。証明資料がない期間は、実務経験としてカウントできないため、事前に漏れなく収集することが重要です。都道府県によって詳細な証明方法や必要書類が異なる場合がありますので、申請先の地方整備局の最新の手引きを確認してください。
新しい営業所が、単なる連絡事務所ではなく、実際に建設業の営業活動を行う拠点であると認められるためには、その実態を証明する資料が必要です。具体的には以下のようなものが挙げられます。
これらの資料は、申請者が用意する申請書類の信頼性を裏付けるために不可欠です。不足や不備があると、審査が大幅に遅延したり、不許可となったりする原因となります。
知事許可から大臣許可への「許可換え新規申請」は、通常の新規申請とほぼ同様の手続きを要します。ここでは、特に大阪府から大臣許可へ切り替える場合の手続きの概要、必要書類、期間、費用目安について解説します。
現在、大阪府知事許可をお持ちの建設業者様が、他の都道府県に新たな営業所を設置して大臣許可を取得する場合、原則として本社を管轄する地方整備局(大阪府の場合は近畿地方整備局)に申請を行います。一般的な流れは以下の通りです。
都道府県によって手続きの細部が異なる場合がありますので、必ず申請先の地方整備局の最新の手引きをご確認ください。
許可換え新規申請に必要な書類は多岐にわたりますが、知事許可の申請書類に加えて、新たな営業所に関する書類が加わります。以下に主な書類を挙げます。
これらの書類は、経営業務管理責任者や専任技術者の要件を裏付ける重要な資料です。一つでも不備があると審査が滞るため、慎重な準備が求められます。特に、大阪府から大臣許可への申請では、大阪府知事許可の申請時に提出した資料をベースに、大臣許可の要件に合わせて内容を更新・追加していく形になります。
建設業許可の取得・維持だけでなく、新たな営業所を設置する際には、社会保険労務士の視点からも重要な労務管理・社会保険の手続きが発生します。これらを怠ると、法令違反となるだけでなく、経営事項審査(経審)の評価にも影響を及ぼす可能性があります。
労働者を1人でも雇用する事業所は、原則として労働保険の適用事業所となります。新たな営業所を設置し、そこで労働者を雇用する場合、以下の手続きが必要になることがあります。
どちらのケースに該当するかは、現在の事業所の労働保険の適用状況によって異なります。適切な手続きを行わないと、従業員の労災事故時の補償や雇用保険の給付に支障が生じるだけでなく、行政指導の対象となる可能性もあります。
法人事業所は、従業員の人数に関わらず、健康保険・厚生年金保険(社会保険)の適用事業所となります。新たに営業所を設置し、そこで従業員を雇用する場合も同様です。
建設業においては、社会保険の加入は許可要件および経営事項審査の加点項目でもあります。新たな営業所を開設する際には、雇用保険法 第7条、健康保険法 第31条、厚生年金保険法 第27条に基づき、適切な手続きを漏れなく行うことが重要です。
これらの労務管理・社会保険の手続きは、専門知識が必要となる場合が多く、建設業許可申請と並行して進めることで、スムーズな事業展開と法令遵守を実現できます。当事務所では、これらの手続きについても横断的にサポートすることが可能です。
県外への営業所開設と大臣許可への切り替えに関して、よくお寄せいただくご質問とその回答をまとめました。
A. 新しい県外営業所で、実際に建設工事の請負契約を締結するなどの営業活動を開始する前に、大臣許可への許可換え新規申請を行い、許可を取得している必要があります。申請から許可が下りるまでに約90日~120日かかりますので、新規営業所の開設予定時期から逆算して、十分に余裕を持ったスケジュールで申請準備を進めることが重要です。許可取得前に営業活動を行うと、無許可営業とみなされますのでご注意ください。
A. 専任技術者の要件を満たす人材の確保が難しい場合は、いくつかの代替案が考えられます。
いずれにしても、要件を満たさないまま申請することは、不許可や虚偽申請のリスクがあるため避けるべきです。最適な方法については、当事務所までご相談ください。
A. 大臣許可を取得した場合、既存の知事許可は自動的にその効力を失います。これは、一つの建設業者が同一の建設業種について知事許可と大臣許可の両方を同時に持つことはできないためです。大臣許可が下りた後、現在の許可を出している都道府県(大阪府知事許可であれば大阪府)へ、遅滞なく廃止届を提出する必要があります。この手続きについても、当事務所でサポートが可能です。
本記事では、建設業許可を持つ事業者が県外に営業所を設置する際に必要となる、知事許可から国土交通大臣許可への「許可換え新規申請」について解説しました。特に、単なる届出では不十分であること、そして営業所ごとに専任技術者の配置が必要であるという点が重要なポイントです。
許可換え新規申請は、通常の新規申請と同様に、経営業務管理責任者や専任技術者の要件、財産的基礎など、厳格な審査基準が適用されます。特に専任技術者の実務経験証明は、客観的な資料に基づく綿密な準備が不可欠です。
県外への事業拡大は、新たなビジネスチャンスを掴む上で非常に有効な戦略ですが、法令遵守と適切な手続きがその成功の前提となります。不許可や無許可営業といったリスクを回避し、スムーズな事業展開を実現するためには、専門家による早期のサポートが不可欠です。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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