ブログ記事
2026.09.23
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
建設業者の皆様、公共工事の受注を目指す上で欠かせない経営事項審査(経審)の結果通知書、どのように活用していますか?通知書に記載された数字をただ眺めるだけでなく、その意味を正しく理解し、次の一手へと繋げることは、事業の成長に不可欠です。本記事では、経審結果通知書の具体的な読み方から、点数アップに向けた戦略、そして大阪府での申請実務を踏まえたアクション計画まで、詳しく解説いたします。
建設業許可の経営事項審査(経審)は、公共工事を請け負うための入札参加資格審査において、企業の客観的な評価を数値化する制度です。この審査の結果は「経営事項審査結果通知書」として交付されますが、この通知書には自社の強みや課題が詰まっています。効果的な事業展開のためには、通知書の内容を正確に読み解き、将来的な戦略に活かすことが重要です。
経営事項審査(経審)とは、建設業法(昭和24年法律第100号)第27条の23に基づき、建設業者が公共工事の入札に参加するために義務付けられている審査です。国土交通大臣が定める基準に従って、経営状況、技術力、社会性などを客観的に評価し、総合的な評定値(P点)を算出します。
このP点は、各発注機関が行う入札参加資格審査において、企業が公共工事を受注できるかを判断する重要な指標となります。そのため、経審結果通知書は単なる報告書ではなく、自社の事業戦略や今後の成長計画を立てる上で不可欠な羅針盤と言えるでしょう。
また、公共工事の受注だけでなく、企業の信用力向上にも繋がります。金融機関からの融資や元請企業との新たな取引においても、経審の結果は客観的な判断材料として活用されることがあります。当事務所では、建設業許可と経審結果を活用した事業計画策定の重要性も、これまでのブログ記事で解説しております。【建設業許可と経審結果を活用した事業計画策定|成長戦略を大阪で実現するために】
経審結果通知書には、企業の経営状態や施工能力を示す様々な項目と、それらを総合的に評価した点数が記載されています。主要な項目を理解することが、通知書を読み解く第一歩です。
総合評定値(P点)は、以下の5つの評価項目を特定の比率で合計して算出されます。このP点が高ければ高いほど、公共工事の入札参加資格審査において有利になります。
P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
国土交通省 建設業法施行規則第十八条の十一に規定する経営事項審査手数料についてより抜粋、建設業法施行規則第18条の3の規定を参照
P点を構成する各項目は、それぞれ企業の異なる側面を評価しています。
過去2年間または3年間の平均完成工事高を評価します。企業の施工能力や事業規模を示す重要な指標です。点数アップには、安定した工事受注と、適切な会計処理による実績の計上が不可欠です。工事経歴書の作成ポイントについては、【建設業許可の経営事項審査(経審)で高評価を獲得!工事経歴書作成のポイント【大阪府対応】】でも解説しています。
直近決算期の自己資本額(純資産額)と利益額(税引前当期純利益)を評価します。企業の財務基盤の安定性や収益力を示す項目です。自己資本比率が高いほど、また利益額が大きいほど、点数は向上します。
企業の財務諸表から読み取れる8つの指標(純支払利息割引料、負の営業キャッシュフロー、利益剰余金等)を総合的に評価し、企業の経営状態の健全性を判断します。例えば、負債比率や流動比率、利益率などが影響します。
技術職員数や技術職員の保有資格、元請完成工事高などを評価します。企業の技術力や専門性を示す項目であり、公共工事の品質を担保する上で重視されます。特に、専任技術者の配置とその資格は重要です。【建設業許可の要!専任技術者の指定学科と実務経験を証明する方法【大阪府対応】】
労働福祉の状況、営業年数、建設機械の保有状況、研究開発費、ISO認証の有無、ワークライフバランスに関する取り組み、若年技術職員の育成など、企業の社会的な側面や付加価値を評価する項目です。社会保険の加入状況もこのW点に大きく影響します。
通知書に記載された数字をただ見るだけでなく、その背景にある意味を理解し、自社の現状を客観的に把握することが重要です。
まずは、自社の各評価項目(X1, X2, Y, Z, W)の点数が、業界平均や目標とする公共工事のランクで求められる点数と比較してどうであるかを確認しましょう。どの項目で高得点を得ているか、またどの項目が課題となっているかを明確にすることが大切です。公共工事の入札参加資格審査では、各発注機関が独自の点数基準を設定しているため、目標とする発注機関の基準を事前に把握することも重要です。
もし総合評定値(P点)が目標に達していない場合、どの評価項目が点数を下げているのかを特定します。例えば、X1の完成工事高が低いのであれば、工事受注の強化や経理処理の適正化が必要かもしれません。Yの経営状況の点数が低い場合は、財務体質の改善が喫緊の課題となります。
単に点数を見るだけでなく、「なぜこの点数になったのか」という原因を深掘りすることで、具体的な改善策が見えてきます。
経審結果通知書で自社の課題が明確になったら、次は具体的な改善策を立て、実行に移すことが重要です。点数アップは一朝一夕にはいきませんが、計画的な取り組みで着実に改善が見込めます。
W点は、法令遵守や従業員の働きやすさなど、企業の社会的な側面が評価されます。社労士の視点からも、特に重視すべき項目です。
全ての従業員(役員を含む)の社会保険(健康保険・厚生年金保険)および雇用保険への適正な加入は必須です。これはW点の加点要素であるだけでなく、建設業許可の取得・維持にも不可欠な要件であり、法令遵守の基本です。未加入の場合、経審で減点されるだけでなく、建設業許可の取り消しや罰則の対象となる可能性もあります。詳細については、【建設業許可と社会保険・労働保険|一体的な対応で企業信頼性と経営安定化を実現【大阪府対応】】をご覧ください。
従業員向けの福利厚生制度(退職金制度、人間ドック費用補助など)や、従業員の教育訓練費用なども評価の対象となります。労働環境の整備は、従業員の定着率向上にも繋がります。
技術職員が継続的に技術や知識の向上に努めていることを示すCPD(Continuing Professional Development)単位の取得も、W点の加点要素です。
経審の申請手続きは、許可を受けた行政庁によって異なります。大阪府知事許可の建設業者の皆様は、大阪府の手続きに沿って申請を行う必要があります。
経審は、事業年度終了後、決算変更届(事業年度終了届)を提出した後に申請します。経審結果通知書には有効期間があり、建設業法 第27条の23第3項により、申請のあった日から1年7ヶ月と定められています。
公共工事の入札参加資格を継続するためには、この有効期間が切れる前に次の経審を申請し、結果通知書を取得しておく必要があります。計画的な申請が重要であり、更新忘れは無許可営業と同等のリスクを招くこともあります。建設業許可の更新忘れ対策については、【大阪府の建設業者必見!建設業許可の更新忘れを防ぐ計画と対策】もご参照ください。
経審の申請後、P点を算出してもらうためには「総合評定値請求」を行う必要があります。この請求手続きは任意ですが、公共工事の入札参加には必須です。
建設業法 第27条の29に基づき、国土交通大臣に経営事項審査の申請を行う際には手数料が発生します。また、総合評定値の請求にも別途手数料が必要です。具体的な金額は、審査項目数によって異なりますが、国土交通省令で定められています。詳しくは、国土交通省のウェブサイトで確認できます。国土交通省:建設業法施行規則第十八条の十一に規定する経営事項審査手数料について
大阪府知事許可業者の場合、経審の申請窓口は大阪府の土木建築部建設業室経営審査課となります。申請書類の作成や必要書類の収集には専門知識と時間が必要となるため、行政書士への依頼もご検討ください。
当事務所にご依頼いただいた場合の費用は、企業の状況や申請内容によりますが、目安として経審申請(決算変更届作成含む)で10万円~20万円程度となることが一般的です。ご自身で手続きを進めることも可能ですが、書類不備による差し戻しや審査期間の遅延を避けるため、専門家への依頼は有効な選択肢です。どちらがご自身の状況に適しているか、じっくりご判断ください。
A1:経審の総合評定値(P点)は、各発注機関(国、都道府県、市町村など)が定める入札参加資格審査基準に直接影響します。発注機関は、P点に加えて技術者の数や資本金などの項目を総合的に評価し、建設業者を等級(Aランク、Bランクなど)に分類します。これにより、入札に参加できる工事の規模や種類が決定されるため、P点の高さは、より大規模な公共工事や多くの入札機会を得るために非常に重要です。
A2:経審の点数に影響する要素は多岐にわたり、財務状況の改善などは時間を要しますが、比較的短期間で改善が期待できる項目もあります。例えば、技術職員の資格取得を促進する(Z点)、社会保険・雇用保険の適正加入を徹底する(W点)、CPD単位を取得する(W点)などが挙げられます。また、決算変更届や工事経歴書の提出内容を正確かつ最適化することも重要です。まずは現状の経審結果通知書を分析し、どの項目から着手すべきかを検討することをおすすめします。
A3:経審の有効期間は申請のあった日から1年7ヶ月です。この期間が過ぎると、その経審結果は無効となり、公共工事の入札に参加することはできません。入札参加資格を継続するためには、有効期間が切れる前に新たな経審を申請し、結果通知書を取得する必要があります。期間が過ぎてしまった場合は、再度新規で申請し直すことになり、その間は公共工事受注の機会を逸することになるため、計画的な更新管理が非常に重要です。
本記事では、建設業許可の経営事項審査(経審)結果通知書の読み方と、その結果を次なる事業戦略に活かすための具体的なアクション計画について解説しました。経審は単なる義務ではなく、自社の強みと課題を明確にし、成長へと繋げるための重要なツールです。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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まずは一度ご相談ください。