ブログ記事
2026.10.20
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の
許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
社会保険労務士 行政書士
公認 不動産コンサルティングマスター
松原 元
平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。
建設業を営む事業者様にとって、事業の拡大や信頼性向上のために建設業許可の取得は重要な一歩です。しかし、建設業許可には「一式工事」、と「専門工事」という二つの大きな分類があり、どちらの許可を最初に取得すべきか、その違いや要件について疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この選択は、今後の事業展開に大きく影響する可能性があります。当記事では、大阪府を中心に建設業許可申請をサポートする行政書士・社会保険労務士として、建築一式工事許可と専門工事許可の基本的な違いから、それぞれの許可でできる工事の範囲、必要な要件、そして貴社の事業内容に最適な許可選択のポイントまでを詳細に解説します。
許可取得をご検討中の方、あるいはすでに許可をお持ちで業種追加を検討されている方も、ぜひ本記事をご自身の判断材料としてお役立てください。
建設業許可は、建設工事の種類によって「一式工事」と「専門工事」に大別されます。この分類の前に、まず許可の基本的な枠組みを理解しておくことが大切です。
建設業許可は、営業所の所在地によって「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」に分かれます。
どちらの許可も、許可の種類(一式・専門工事)にかかわらず共通の分類です。
建設業許可は、工事の規模や発注者からの請負形態によって「一般建設業許可」と「特定建設業許可」に分かれます。
この一般・特定の区別も、建築一式・専門工事のどちらにも適用されます。2025年2月からは特定建設業許可の下請代金基準額が変更されます。詳しくは【2025年2月施行|特定建設業許可の下請代金基準額変更で何が変わる?大阪府の建設業者向け解説】をご覧ください。
「建築一式工事」とは、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事と定義されています(建設業法 第2条第1項、別表第一)。
建設業許可の取得には、主に以下の要件を満たす必要があります(建設業法 第7条)。
大阪府での申請では、これらの要件を裏付ける多くの書類(登記簿謄本、決算書、確定申告書、工事請負契約書、請求書、通帳のコピー、資格証明書など)の提出が求められ、経験の証明は特に厳しく審査される傾向にあります。書類の不備や記載内容の不整合がないよう、細心の注意が必要です。
専門工事は、特定の工事に特化した建設業許可です。建設業法 第2条第1項、別表第一に規定される27種類の工事が該当します。
専門工事許可の取得要件も、建築一式工事と同様に、主に以下の5つの要件(建設業法 第7条)を満たす必要があります。
大阪府では、専門工事ごとに求められる専任技術者の要件(資格、実務経験)が具体的に定められています。申請時に提出する工事経歴書や、実務経験を証明する書類(契約書、請求書、発注証明書など)は、その専門工事に該当する内容であることを明確に示す必要があります。
建築一式と専門工事では、その目的、請け負える工事の範囲、必要な要件に大きな違いがあります。それぞれの特性を理解することが、適切な許可選択の鍵となります。
よくある誤解として、「建築一式工事の許可があれば、全ての専門工事ができる」というものがありますが、これは誤りです。建築一式工事はあくまで「総合的な企画、指導、調整」を行うものであり、個別の専門工事を単独で請け負うための許可ではありません。
経営業務管理責任者の要件は、基本的に建築一式工事も専門工事も共通です。許可を受けようとする建設業に関して、一定期間以上の経営経験が求められます。
ただし、複数の業種を申請する場合、そのすべての業種について経営経験を証明する必要があります。例えば、建築一式工事と電気工事の両方を申請するならば、それぞれの業種での経営経験が問われることになります。
専任技術者の要件は、建築一式工事と専門工事で、求められる資格や実務経験の内容が大きく異なります。
【建設業許可の要!専任技術者の指定学科と実務経験を証明する方法【大阪府対応】】でも専任技術者の要件について詳しく解説しています。
建築一式と専門工事のどちらの許可を選ぶべきかは、貴社の現状と将来のビジョンによって異なります。以下のフローを参考に、ご自身の状況を整理してみましょう。
これらの点を具体的に整理することで、貴社が「どのような建設業者になりたいか」という方向性が見えてきます。
上記の事業展望と合わせて、許可取得に必要な要件(経営業務管理責任者の経験、専任技術者の資格・経験、財産的基礎など)を貴社が満たしているかを確認します。
【建設業許可取得のための事前診断と不足要件の補完計画【大阪府対応】】でも事前診断の重要性について解説しています。
大阪府では、申請書類の作成においても、添付資料との整合性や記載内容の具体性を厳しくチェックする傾向があります。特に経験証明においては、発注者側からの証明書を求められることもあり、準備に時間がかかる場合があります。
建設業許可の取得には、行政庁に支払う手数料と、専門家(行政書士)に依頼した場合の報酬がかかります。期間も考慮して計画的に進めましょう。
大阪府知事許可の場合、新規申請や許可換え新規申請の手数料は以下の通りです。
これらの手数料は、申請時に大阪府に支払うもので、いかなる場合も返還されません。
参考:大阪府『建設業許可申請の手引き』
行政書士に建設業許可申請を依頼した場合の費用相場は、申請内容や難易度によって異なりますが、大阪府知事許可の新規申請で15万円~30万円程度が一般的です。複数の業種を同時に申請する場合や、経営業務管理責任者・専任技術者の証明資料の収集に手間がかかる場合は、費用が変動する可能性があります。
この費用には、書類作成、必要書類の収集代行、行政庁との事前相談、申請代理などが含まれることが一般的です。当事務所でも初回無料相談で、具体的な費用をご提示しています。
大阪府知事許可の標準処理期間は、申請書類が受理されてから概ね30日〜45日程度とされています(土日祝日を除く)。
ただし、これはあくまで行政庁での審査期間であり、申請書類の準備期間は含まれていません。必要書類の収集や作成には、数週間から数ヶ月を要する場合もあります。特に、過去の経験を証明する資料が手元にない場合や、複数の関係機関からの書類を取り寄せる必要がある場合は、さらに時間がかかる可能性があります。
【2週間で建設業許可取得と入札参加」は可能か?急ぎの相談で知るべき現実と手続きの全体像】でも、許可取得までの全体像と期間について詳しく解説しています。
建設業許可を取得する、あるいはすでに許可をお持ちの事業者様にとって、労務管理や社会保険・労働保険の適正な手続きは、事業運営の基盤を強化し、企業としての信頼性を高める上で非常に重要です。社会保険労務士の立場から、その重要性をお伝えします。
建設業では、法人であれば代表者を含め全ての従業員について、個人事業であっても一定規模以上の事業所では、健康保険・厚生年金保険への加入が義務付けられています(健康保険法 第3条、厚生年金保険法 第9条)。これは、建設業許可の要件(建設業法 第27条の23)にもなっており、未加入のままでは許可の更新や変更申請に支障が出る可能性があります。
特に、社会保険の加入は、建設業における企業評価の重要な項目である経営事項審査(経審)にも影響します。
これらの労働保険についても、適正な加入は企業の法令遵守意識を示すものであり、建設業許可の維持や公共工事への入札参加資格の取得において重視されます。
公共工事への入札参加を目指す場合、経営事項審査(経審)を受ける必要があります。経審では、社会性や労働福祉に関する項目として、社会保険・労働保険の加入状況が評価対象となります(建設業法施行規則 第34条の2)。
これらが適切に加入・届け出されていることで、経審の点数(P点)が向上し、結果として入札において有利になる可能性があります。適切な労務管理と社会保険・労働保険の対応は、許可取得後の事業成長と安定運営に欠かせない要素と言えるでしょう。
【建設業許可と社会保険・労働保険|一体的な対応で企業信頼性と経営安定化を実現【大阪府対応】】でも詳しく解説しています。
Q1: 建築一式工事の許可があれば、全ての専門工事を請け負うことができますか?
A1: いいえ、原則としてできません。建築一式工事の許可は、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物全体を建設する工事」を請け負うためのものです。一式工事の本体に附帯する専門工事を総合的に請け負うことは可能ですが、単独の専門工事(例えば、電気工事だけ、内装工事だけなど)を請け負う場合は、原則としてその専門工事の許可が別途必要となります。
Q2: 複数の専門工事許可を同時に申請・取得することはできますか?
A2: はい、可能です。経営業務管理責任者やそれぞれの業種に対応する専任技術者の要件を満たし、必要な書類を揃えれば、複数の専門工事許可を同時に申請することができます。ただし、その分、申請書類の量が増え、要件確認も複雑になる場合があります。
Q3: 将来的に建築一式工事も専門工事も行いたい場合、どちらを先に取得すべきですか?
A3: 貴社の現在の主要事業や、より早く収益化したい工事の種類によって判断が分かれます。もし現在、特定の専門工事(例:電気工事や管工事)を主力としており、その分野で500万円以上の工事を請け負いたいのであれば、まずその専門工事の許可取得を目指すのが一般的です。将来的に総合的な建築工事の元請を目指すのであれば、建築一式工事の要件を整えながら、並行して専門工事の許可も検討する、という方法も考えられます。まずは、貴社の実態と強みを踏まえて判断されることをおすすめします。
Q4: 実務経験が10年に満たない場合でも、建設業許可を取得する方法はありますか?
A4: 専任技術者の要件において、指定学科を卒業している場合は、実務経験が短縮されることがあります。例えば、大学で指定学科を卒業していれば3年、高校で指定学科を卒業していれば5年の実務経験で認められるケースがあります。また、特定の国家資格(例:一級・二級施工管理技士など)を保有していれば、実務経験が不要となる場合もあります。ご自身の学歴や資格を確認し、該当する制度を活用できないか検討されると良いでしょう。
本記事では、建設業許可における建築一式工事と29の専門工事の違い、それぞれの許可でできる工事の範囲、必要な要件、そして貴社に最適な許可選択のポイントについて解説しました。
建築一式工事は総合的な建築プロジェクトを対象とし、専門工事は特定の技術を要する個別工事に特化しています。どちらの許可を選択すべきかは、貴社の現在の事業内容、将来の事業展開の方向性、そして要件充足状況によって異なります。特に、経営業務管理責任者や専任技術者の要件、財産的基礎の確認は、申請準備において非常に重要です。
また、許可取得後の適正な労務管理や社会保険・労働保険への加入も、企業の信頼性向上や公共工事への参入を検討する上で不可欠な要素です。
建設業許可の取得は、多くの書類準備や複雑な要件確認が伴う手続きです。ご自身の事業計画と照らし合わせ、適切な許可を選択し、法令を遵守した堅実な経営を目指されることをお勧めします。
建設業許可申請に関するご不明な点や、個別の事情に応じたアドバイスが必要な場合は、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。
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