個人事業を廃業後の経験は建設業許可(法人新規)に活かせるか?【大阪府対応】 | リーガルシンク社労士・行政書士事務所
電話ボタン

ブログ記事

個人事業を廃業後の経験は建設業許可(法人新規)に活かせるか?【大阪府対応】

2026.10.14

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、
ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の 許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。
資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

この記事の監修
松原元

社会保険労務士 行政書士 
公認 不動産コンサルティングマスター

松原 元

平成23年12月に社会保険労務士登録、平成25年5月に行政書士登録し、ダブルライセンスで労務・社会保険関係から建設業、宅建業、産廃等の許認可の取得・維持までをワンストップで対応可能。資金繰りのサポートも行っており、200件以上の融資支援実績を持つ。

個人事業主として実績を積んだ方が、さらなる事業拡大を目指して法人化し、建設業許可の新規取得を検討されるケースは少なくありません。しかし、個人事業を廃業した後の期間の経験が、法人の建設業許可申請においてどのように扱われるのか、疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に経営業務管理責任者や専任技術者の要件を満たす上で、過去の経験をどのように証明すればよいかは重要なポイントです。この疑問に、大阪府の申請実務を踏まえながら、詳しく解説いたします。

建設業許可の取得は、事業の信頼性を高め、受注できる工事の幅を広げる上で非常に重要なステップです。私自身も日頃から、大阪府および近畿圏の建設業者の皆様の許可取得をサポートしており、法人化を検討される個人事業主の方々からのご相談も多く承っております。

この記事では、個人事業を廃業した後に法人として建設業許可を新規取得する際、これまでの経験がどのように評価されるのか、またその証明方法や手続きの流れについて具体的にご説明します。

目次

個人事業廃業後の経験は法人の建設業許可に活かせるのか?

結論:原則として活用可能です

個人事業を廃業した後に法人を設立し、建設業許可を新規で取得する場合、個人事業主としての経営経験や実務経験は、原則として許可の要件を満たすために活用することが可能です。特に、建設業許可の主要な要件である「経営業務管理責任者」と「専任技術者」の要件において、過去の経験は重要な要素となります。

この点は、多くの個人事業主の方が法人化を検討される際に不安に感じる部分ですが、適切な証明書類を準備し、申請要件に合致する経験であることを示せれば、問題なく評価される傾向にあります。

重要なのは「経験の連続性」と「証明可能性」

個人事業主としての経験を活かす上で特に重要となるのは、その「経験の連続性」と「証明可能性」です。

  • 経験の連続性:個人事業の廃業から法人設立、そして許可申請までの期間があまりにも空きすぎている場合、経験の連続性が途切れていると判断されるケースも考えられます。連続性が途切れている期間に、建設業に関する業務に従事していなかったと判断されると、その期間は要件の実務経験期間に算入されない場合があります。
  • 証明可能性:経験があることはもちろんですが、それを客観的な書類で証明できることが不可欠です。工事請負契約書、請求書、入金が確認できる通帳の写し、確定申告書などは、経験を証明する上で重要な書類となります。これらの書類が適切に保存されているか、事前に確認しておくことをお勧めします。

建設業許可の種類と基本要件をおさらい

個人事業の経験を活かす前に、まずは建設業許可の基本的な種類と要件について確認しておきましょう。これは、どの許可を目指すかによって、求められる経験の内容や深さが異なるためです。

建設業許可は、主に「知事許可と大臣許可」そして「一般建設業許可と特定建設業許可」の2つの軸で分類されます。詳しい情報は、大阪府の建設業者必見!建設業許可申請・更新・経審で知るべきすべてでも解説しています。

都道府県知事許可と国土交通大臣許可

営業所の所在地によって、申請先が異なります。

  • 都道府県知事許可:1つの都道府県内にのみ営業所を設置して営業する場合に、その都道府県知事から許可を受けます。(建設業法 第3条 第1項)
    大阪府内で事業を行うのであれば、大阪府知事許可を目指すことになります。
  • 国土交通大臣許可:2つ以上の都道府県にわたって営業所を設置して営業する場合に、国土交通大臣から許可を受けます。(建設業法 第3条 第2項)
    例えば、大阪府と兵庫県の両方に営業所を設ける場合は、国土交通大臣許可が必要です。
    この場合の手続きは、【大阪府対応】建設業で県外に営業所開設!知事許可から大臣許可への「許可換え新規申請」を徹底解説でも詳しく解説しています。

一般建設業許可と特定建設業許可

請け負う工事の規模や下請契約の金額によって、種類が分かれます。

  • 一般建設業許可:発注者から直接請け負った1件の工事につき、下請契約の合計額が4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)の工事を施工する場合に必要です。(建設業法 第3条 第1項)
    多くの個人事業主の方が法人化して最初に目指すのは、この一般建設業許可です。
  • 特定建設業許可:発注者から直接請け負った1件の工事につき、下請契約の合計額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる工事を施工する場合に必要です。(建設業法 第3条 第2項)
    特定建設業許可は、より厳しい財産的基礎や技術者要件が求められます。
    なお、この下請代金基準額は2025年2月より変更されます。詳細は2025年2月施行|特定建設業許可の下請代金基準額変更で何が変わる?大阪府の建設業者向け解説をご覧ください。

建設業許可の主な要件

建設業許可を取得するためには、主に以下の6つの要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務管理責任者がいること
  2. 専任技術者がいること
  3. 誠実性があること
  4. 財産的基礎があること
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 社会保険等の加入

この記事では、個人事業主の経験に関わる「経営業務管理責任者」と「専任技術者」、そして「財産的基礎」に焦点を当てて解説を進めます。

経営業務管理責任者の要件と経験の証明

経営業務管理責任者とは

経営業務管理責任者とは、建設業の経営業務について一定期間以上の経験を持つ者を指します。法人の役員や個人事業主として、建設業の経営全般を統括した経験が求められます。(建設業法施行規則 第7条)

具体的には、以下のいずれかの経験が必要です。

  • 許可を受けようとする建設業に関して、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験
  • 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関して、6年以上の経営業務の管理責任者としての経験
  • 許可を受けようとする建設業に関して、2年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有し、かつ、5年以上役員等の経験または役員等に準ずる地位にある経験

個人事業主として建設業を営んでいた期間は、この経営業務管理責任者の経験としてカウントすることができます。

個人事業主としての経験を証明するポイント

個人事業主としての経営経験を証明する際には、以下の点に注意してください。

  • 継続性:途中に事業を休止している期間があると、その期間は経験として認められないことがあります。
  • 実態:単に税務上の申告があるだけでなく、実際に建設業の経営全般(資金管理、人事、契約締結など)を行っていた実態が必要です。

証明に必要となる書類(法人設立前の個人事業に関するもの)

大阪府知事許可の申請において、個人事業主としての経営経験を証明するためには、主に以下の書類が必要となります。

  • 確定申告書:個人事業の期間における所得税の確定申告書(青色申告決算書を含む)で、建設業を営んでいたことが分かるもの。
  • 工事請負契約書・注文書・請求書・入金が確認できる通帳の写し:請け負った工事の内容、期間、請負金額が分かる書類。契約書がない場合は、注文書や請求書、そしてそれらに対する入金が確認できる銀行の通帳の写しなどが代わりになります。
  • 事業期間を証明する資料:開業届の写し、事業主の住民票など。

これらの書類は、経営業務管理責任者として経営に従事していた期間と、その期間中に建設業を行っていたことを客観的に示すための重要な資料です。不足がないよう、事前に収集・整理しておくことをお勧めします。

専任技術者の要件と経験の証明

専任技術者とは

専任技術者とは、建設工事に関する専門的な知識や技術を持ち、営業所に常勤して業務に従事する技術者のことを指します。(建設業法 第7条 第2号)

専任技術者の要件は、大きく分けて以下の2通りです。

  1. 一定の国家資格等を持っていること
  2. 許可を受けようとする建設業に関して、所定の実務経験があること

個人事業主として自身が技術者として工事に従事していた経験も、実務経験として認められる場合があります。

個人事業主としての実務経験の証明

実務経験で専任技術者の要件を満たす場合、一般建設業許可では原則として10年以上の経験が求められます。特定の学科を卒業している場合は、その期間が短縮されることがあります。(建設業法施行規則 第7条)

個人事業主としての実務経験を証明する際には、以下の点に留意が必要です。

  • 建設工事への従事:単なる事務作業ではなく、実際に建設工事の施工管理や監督、技術指導などに従事していた経験が必要です。
  • 明確な期間:いつからいつまで、どの業種で経験を積んだかを明確に示す必要があります。

証明に必要となる書類(法人設立前の個人事業に関するもの)

大阪府知事許可の申請では、個人事業主としての実務経験を証明するために、主に以下の書類が求められます。

  • 工事請負契約書・注文書・請求書・入金が確認できる通帳の写し:経営業務管理責任者の証明と同様に、請け負った工事の内容、期間、役割などが分かるもの。
  • 実務経験証明書:所定の様式に、経験した業種、期間、従事した工事内容などを具体的に記載し、自身で署名または押印したもの。過去に他社で勤務経験がある場合は、その会社の証明も必要です。
  • 卒業証明書(学歴で期間短縮を主張する場合):指定学科の卒業を証明するもの。詳細は建設業許可の要!専任技術者の指定学科と実務経験を証明する方法【大阪府対応】でも解説しています。

なお、電気工事業のように、軽微な工事であっても登録が義務付けられている業種の場合、無登録期間の実務経験は原則として認められません。この点については、【大阪府の建設業者向け】電気工事業で法人成り!建設業許可申請時の「無登録期間の経験」は認められるかをご参照ください。

財産的基礎の要件

法人設立時の注意点

法人として建設業許可を取得する際、財産的基礎の要件を満たすために、法人設立時の資本金は重要な要素となります。

一般建設業許可の場合、以下のいずれかを満たす必要があります。(建設業法施行規則 第8条)

  1. 自己資本が500万円以上であること
  2. 500万円以上の資金を調達する能力があること

個人事業から法人化する際には、事業の運転資金や将来の事業展開を見据え、適切な資本金を準備することが推奨されます。

具体的な財産要件と証明方法

大阪府知事許可の申請において、財産的基礎を証明するためには、主に以下の書類が必要となります。

  • 法人設立直後の場合:
    • 資本金払込証明書:会社設立時に資本金が適切に払い込まれたことを証明する書類。
    • 預金残高証明書:申請日直前1ヶ月以内の日付で、金融機関が発行した残高証明書。500万円以上の残高があることを示します。
  • 法人設立後、決算期を経過している場合:
    • 直近の貸借対照表:自己資本(純資産の部)が500万円以上であることを示す必要があります。

設立1期目の法人での許可取得に関する詳細は、【設立1期目の法人でも建設業許可は取得可能か?決算書がない場合の財産要件と対策【大阪府対応】】でも解説しています。

申請手続きの流れと期間の目安【大阪府知事許可】

個人事業の経験を活かして法人で建設業許可を新規取得する場合の一般的な流れと、大阪府での期間の目安をご紹介します。

事前準備と相談

まずは、どの業種の許可が必要か、要件を満たしているかを確認します。過去の個人事業での経験がどの程度活用できるか、どのような書類が必要かを行政書士に相談するとスムーズに進むでしょう。当事務所では、建設業許可取得のための事前診断と不足要件の補完計画についてもサポートしています。

申請書類の作成と提出

要件を満たしていることが確認できたら、必要書類の収集・作成に入ります。個人事業時代の資料を整理し、不足があれば新たに取得する必要があるかもしれません。書類がすべて揃ったら、大阪府の場合、大阪府咲洲庁舎2階の建設業許可窓口(建設振興課)へ提出します。申請書類は、記載事項が多く、添付書類も多岐にわたるため、不備がないように慎重に作成する必要があります。

行政書士への依頼をご検討の場合は、建設業許可申請のヒアリングで行政書士が確認する重要ポイント【大阪府対応】もご参照ください。

審査と許可

申請書類が受理されると、大阪府による審査が開始されます。審査期間は、大阪府の場合、申請から約1ヶ月程度が目安とされています。審査の過程で、追加資料の提出や問い合わせがある場合もあります。審査が完了し、要件を満たしていると判断されれば、許可が下り、通知書が送付されます。

許可取得までの期間については、【大阪府対応】「2週間で建設業許可取得と入札参加」は可能か?急ぎの相談で知るべき現実と手続きの全体像でも解説していますが、あくまで「目安」であり、個別のケースや時期によって変動する可能性があります。

建設業許可申請における行政書士への依頼費用相場

建設業許可申請を行政書士に依頼する場合、その費用は申請内容や行政書士事務所によって異なりますが、大阪府知事許可の新規申請の場合、一般的に15万円から30万円程度が相場とされています。

この費用には、書類作成、必要書類の収集サポート、申請代行などが含まれます。別途、申請手数料として大阪府の場合は9万円(収入証紙で納付)が必要です。

専門家に依頼することで、煩雑な書類作成や手続きを代行してもらい、時間と労力を節約できるメリットがあります。また、申請要件の確認や適切な書類作成により、スムーズな許可取得が期待できます。

社会保険・労働保険の適正加入も忘れずに

建設業許可を取得する法人は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)および労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が原則として義務付けられています。(建設業法 第27条の23、建設業法施行規則 第18条の3)

特に法人化した場合は、一人社長であっても社会保険への加入が必要です。これらの保険に適切に加入していない場合、建設業許可が認められない、または許可が取り消される可能性もあるため、非常に重要です。

社会保険労務士としての知見から、当事務所では、建設業許可申請と同時に社会保険・労働保険の新規適用手続きや従業員の入社・退社手続き、労務管理に関するご相談にも横断的に対応しております。許可取得後の継続的な事業運営のためにも、適正な労務管理は不可欠です。

詳細は、建設業許可と社会保険・労働保険|一体的な対応で企業信頼性と経営安定化を実現【大阪府対応】でも解説しています。

Q&A:よくある疑問とその回答

Q1: 個人事業を廃業してから数年経っていますが、その間の経験も有効ですか?

A1: 個人事業を廃業してから数年間、建設業に関する業務に従事していなかった期間がある場合、その期間は経営業務管理責任者や専任技術者の経験期間として認められないことがあります。経験の「連続性」が重要視されるため、途中にブランクがある場合は、その前後の経験のみがカウントされることが原則です。ただし、ブランク期間中に建設業関連のコンサルティングや管理業務などに従事していたなど、建設業の経験として認められる事情がある場合は、個別に判断されることがあります。具体的な状況に応じて、管轄の行政庁または専門家にご相談ください。

Q2: 経営業務管理責任者の要件は、社長以外の役員でも満たせますか?

A2: はい、満たせます。経営業務管理責任者の要件を満たすのは、法人の代表取締役である必要はありません。常勤の役員(取締役、執行役など)であれば、その方が要件を満たしていれば経営業務管理責任者として申請することが可能です。ただし、その役員が「経営業務の執行に関して、代表権に次ぐ権限を有する者」として、業務執行に直接関与している実態が求められます。名義だけの役員では認められません。詳細は、建設業許可申請における「名義上の役員」がもたらすリスクと対処法【大阪府の建設業者向け】でも解説しています。

Q3: 許可申請から実際に営業できるようになるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

A3: 建設業許可の申請準備から許可取得まで、一般的に数ヶ月程度の期間がかかることが想定されます。申請書類の準備に1~2ヶ月、大阪府の審査期間に約1ヶ月が目安です。そのため、申請を検討されてから実際に許可を得て営業できるようになるまでには、最短でも2~3ヶ月、資料収集に手間取ったり、要件に不足があったりする場合には、それ以上の期間を要する可能性があります。特に公共工事への入札参加を検討している場合は、許可取得後に経営事項審査(経審)や入札参加資格申請が必要となるため、さらに期間がかかることをご認識ください。具体的なスケジュールは、【大阪府対応】「2週間で建設業許可取得と入札参加」は可能か?急ぎの相談で知るべき現実と手続きの全体像でも詳しく解説しています。

まとめ

個人事業を廃業した後の経験は、法人として建設業許可を新規取得する際に、経営業務管理責任者や専任技術者の要件を満たすために活用できることが原則です。しかし、その経験の「連続性」と「証明可能性」が非常に重要となり、適切な書類を準備することが成功の鍵を握ります。

建設業許可の取得は、事業の信頼性を高め、更なる成長を目指す上で不可欠なステップです。複雑な要件や多岐にわたる書類作成に不安を感じる場合は、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。また、法人化に伴う社会保険・労働保険の手続きも、建設業許可と並行して適正に対応することが求められます。

大阪府での建設業許可申請や、建設業に関わる労務管理、社会保険・雇用保険の手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。

本記事の内容は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の申請については管轄行政庁または専門家にご確認ください。建設業許可・経営事項審査・労務手続きについてご不明な点がございましたら、当事務所『リーガルシンク社労士・行政書士事務所』までご連絡ください。初回のご相談は無料で対応させて頂きます。

建設業許可は
おまかせください!
  • 「起業・創業して直ぐに建設業許可を取りたい。」
  • 「元請会社から許可がないと仕事がもらえない。」
  • 「資格を持っていないが許可を取りたい。
  • 「許可がなくて融資が受けれない。」

といったお悩みのある方は、
まずは一度ご相談ください。

許可取得のための要件を無料で診断します!

←前の記事